公務員試験を独学で受けるなら、参考書は過去問集から買います。私は大学3年の11月に始めて、予備校に通わずに財務専門官・特別区・国家一般職へ合格しました。専門は11科目全部やっています。財務局で1年3か月働いた元公務員です。
ただし、私がそろえた本をそのまま買ってくださいとは言いません。2024年の試験改正で、要らなくなった科目があります。買う前にそこを知らないと、1万円ぶんくらい無駄になります。
いま書店に並んでいる版で、一から組んでいます。
この記事でわかること
- 参考書は過去問集から買う。導入本はその後だという順番
- 専門11科目をそろえる現行版と、かかる金額のめやす
- 数的処理・経済学・法律だけは導入本を1冊挟む理由
- 2024年改正で知識科目の位置づけが変わり、受ける場所で要否が逆になること
- 時事だけは毎年2月に買い替えること
- 新版が出ていないので、いま買わなくていい本
この記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれています。紹介しているのは私が実際に使った本か、受験案内と出版社の情報で現行版を確認した本だけです。リンクの有無で順番を変えてはいません。
公務員試験を独学で受けるなら、参考書は過去問集から買う
最初に買うのは過去問集です。導入本やテキストから入ると、たいてい途中で止まります。
理由は単純で、公務員試験は出る場所が決まっているからです。先に過去問を見れば、どの論点がどの深さで問われるかが分かります。テキストを頭から読むと、出ない論点にも同じ時間を使うことになります。
私が使ったのは新スーパー過去問ゼミです。通称スー過去。基礎知識のまとめページと過去問ページが1冊に入っているので、これだけで知識を入れて問題を解くところまで進めます。専門科目はほぼ全部これで通しました。
1冊目
科目ごとの過去問集
まず出る場所を見る。解けなくていい
2冊目(必要な科目だけ)
導入本
過去問の解説が読めない科目にだけ足す
直前期
志望先別の過去問500と時事
本番の形式と最新の時事を入れる
導入本を全科目ぶん買わないでください。11科目それぞれに導入本を買うと、冊数も金額も倍になり、たいてい読み切れません。足すのは、過去問の解説を読んでも意味が取れない科目だけです。
専門科目はスー過去でそろう
専門11科目は、すべて新スーパー過去問ゼミの現行版でそろいます。
私が用意したのは憲法、行政法、民法Ⅰ、民法Ⅱ、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学、政治学、行政学、社会学、経営学の11科目です。この組み合わせの理由は専門科目は11科目に収束するに書きました。国家一般職・特別区・東京都の科目を重ねると、ここに落ち着きます。
| 科目 | 現行版 | 価格 | 発売日 |
|---|---|---|---|
| 憲法 | 新スーパー過去問ゼミ8 | 2,420円 | 2026/9/9 |
| 行政法 | 新スーパー過去問ゼミ8 | 2,420円 | 2026/9/9 |
| 民法Ⅰ | 新スーパー過去問ゼミ8 | 2,420円 | 2026/9/9 |
| ミクロ経済学 | 新スーパー過去問ゼミ8 | 2,420円 | 2026/9/9 |
| 政治学 | 新スーパー過去問ゼミ8 | 2,420円 | 2026/9/25 |
| 社会学 | 新スーパー過去問ゼミ8 | 2,420円 | 2026/9/25 |
| 経営学 | 新スーパー過去問ゼミ8 | 2,420円 | 2026/9/25 |
| 民法Ⅱ | 新スーパー過去問ゼミ8 | 2,420円 | 2026/10/28 |
| マクロ経済学 | 新スーパー過去問ゼミ8 | 2,420円 | 2026/10/28 |
| 行政学 | 新スーパー過去問ゼミ8 | 2,420円 | 2026/11/26 |
| 財政学 | 新スーパー過去問ゼミ7[改訂第2版] | 2,200円 | 2025/12/24 |
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第8版は専門が全科目2,420円で揃っています。科目ごとに1,540円から2,420円まで差があったのは第7版までの話です。11科目そろえると2万6千円ほどになります。予備校の通学講座が数十万円であることを考えると、独学で浮く金額の大きさはここに出ます。
通うかどうかの判断そのものは公務員試験の予備校に通うべきかに分けて書きました。各社の受講料も載せています。
3科目は、まだ第8版が出ていません。民法Ⅱとマクロ経済学が2026年10月28日、行政学が11月26日の発売予定です。秋から勉強を始める人は、第7版を買って始めるか、発売を待つかの判断が要ります。私のおすすめは第7版で始めることです。民法とマクロは出題の骨格が動いていないので、版差より着手が遅れることのほうが痛い。財政学だけは逆で、時事的な分野を含むので最新版を待ちます(財政学の記事)。
その財政学は第7版の改訂第2版が現行で、2,200円です。他が8に上がっても7のまま。改訂のサイクルが別なので、見つからないと思って探し回らないでください。
受ける試験によって必要な科目は変わります。国税専門官を併願するなら会計学が必須問題に入るので1冊増えます。刑法・労働法・国際関係・教育学・心理学も同じシリーズにありますが、11科目の外側は、志望先の受験案内を見てから足してください。最初から全部買う必要はありません。
数的処理だけは導入本を先に挟む
数的推理と判断推理は、過去問集からいきなり入ると止まります。ここだけは導入本を先に読んでください。
理由は配点です。国家一般職の基礎能力試験は30題で、そのうち24題が知能分野。数的処理の比重は改正後にむしろ上がっています。落とすと取り返しが効きません。
導入本は2つの系統があります。
新・解法の玉手箱
数的推理がわかる!/判断推理がわかる!(実務教育出版・各1,760円)
算数から説き起こす。数学から離れている人向け
畑中敦子 ザ・ベストNEO
数的推理/判断推理(エクシア出版)
解法のパターンを数で押さえる。問題量が多い
私は玉手箱と畑中敦子の両方を使いました。数学から離れていたので、解き方の姿勢から説明してくれる玉手箱が要りました。1科目1冊を原則にしていましたが、数的処理だけは配点が大きいので例外にして冊数を重ね、慣れてきた頃にクイマスも足しています。相性は中身を見れば分かるので、書店で見開きを見比べて決めてください。
そのうえで過去問集に移ります。導入本だけでは本番の形式に届きません。
書影と書誌は楽天ブックスのデータです。
経済学と法律は、科目の性質で導入本の要否が決まる
専門科目のうち導入本を足す価値があるのは、経済学と法律の一部だけです。
| 科目 | 導入本 | 理由 |
|---|---|---|
| ミクロ・マクロ | 試験対応 新・らくらくミクロ経済学入門/同 マクロ経済学入門(講談社サイエンティフィク) | 理論の積み上げがあるので、途中から読んでも意味が取れない |
| 民法 | 伊藤真の民法入門 講義再現版(日本評論社) | 範囲が広く、全体像を先に持たないと各論で迷子になる |
| 憲法・行政法 | 寺本康之のバイブル系(エクシア出版) | 条文と判例の関係を先に押さえると過去問が速くなる。ただし憲法は省ける場合がある |
| 政治学・行政学・社会学・経営学 | 要らない | 暗記の比重が高く、過去問集だけで仕上がる |
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経済学については、ミクロとマクロの前に経済学の考え方そのものを一段挟む必要があります。ここを飛ばして計算問題から入ると、公式として覚えに行くことになるので、形を変えられると対応できません。無差別曲線や弾力性で止まる人はだいたいここです。順番の詳細は公務員試験の経済学 ミクロの前にもう一段あるに書きました。
行政系の4科目に導入本は不要です。範囲は広いのですが、理解の積み上げがないので過去問を回せば入ります。ここに導入本を買うお金と時間を使うくらいなら、数的処理に回してください。
時事は毎年2月に買い替える
時事だけは、その年の版を買います。前年の版は使えません。
定番は速攻の時事(実務教育出版・1,320円)で、毎年2月に改訂版が出ます。令和8年度試験に対応する版は2026年2月2日の発売でした。演習用の実戦トレーニング編も同時期に出ます。
この1冊が効くのは時事科目だけではありません。人物試験では社会情勢について聞かれることがあるので、受験する年のこの本を読んでいるかどうかで答えの厚みが変わります。
- 時事科目そのもの
- 財政学の財政事情
- 社会科学・行政系科目の最新論点
- 面接(人物試験の社会情勢設問)
加えて、2024年の改正以降は知識分野そのものが時事中心に寄りました。次の章がその話です。
知識科目は2024年の改正で位置づけが逆転した
ここがいちばん気をつけるところです。国家系では、日本史・世界史・地理・物理・化学・生物からの出題が無くなりました。
2024年度の改正で基礎能力試験は40題から30題に減り、知識分野は13題から6題になりました。人事院の方針は「単に知識を問う出題を避け、時事問題を中心とする」というものです。
つまり国家系が志望なら、知識科目の参考書をそろえる意味はほとんどありません。私が受験した当時は自然科学と人文科学だけで十数冊そろえるのが定石でしたが、いま同じ買い方をすると大きく無駄が出ます。
国家系が志望
- 知識分野は6題で時事中心
- 科目別の参考書はほぼ不要
- 速攻の時事でまかなう
受ける場所で答えが逆になる
東京都・特別区が志望
- 東京都は知識16題が必須
- 特別区は20題中12題の選択
- 科目別の対策が要る
東京都と特別区を受けるなら、知識科目は捨てられません。題数の内訳は知識科目は捨てていいのかに整理しました。志望先を決めてから買う、という順番がここで効きます。決める前に知識科目をそろえると、国家系に絞った瞬間に全部余ります。
対策が要る場合の現行版はこうなります。
- 新スーパー過去問ゼミ8 人文科学と同 自然科学(各2,090円・2026年9月2日発売)。教養分野は第8版も2,090円で揃っています。以前は科目ごとの分冊でしたが、現行版は各1冊です。人文科学はA5判508ページあります
- 同 社会科学(2,090円・2026年9月2日発売)。専門試験を受けるなら要りません。教養のみの試験で組む人だけ足します
- 同 文章理解・資料解釈(2,090円・2026年8月28日発売)。知識科目とは別に、こちらは志望先を問わず効きます(文章理解の記事)
- 寺本康之の超約ゼミ ここだけ!時事&知識分野(実務教育出版)。改正後の知識分野に正面から合わせて作られた本です
仕上げは志望先別の過去問500
直前期に入れるのが過去問500です。科目別の問題集とは役割が違います。
科目別の問題集は論点ごとに並んでいるので、本番のように科目が混ざった状態で解く練習になりません。試験別の過去問集は、出題の順番も配分も本番と同じです。時間配分の練習はこちらでやります。
現行は2027年度版です。科目別のスー過去より1冊あたりが高く、4,000円前後します。直前期に1冊か2冊だけ入れる本だと思ってください。
| 試験 | 対象 | 価格 |
|---|---|---|
| 国家一般職〈大卒〉 | 基礎能力・専門試験 | 4,400円 |
| 国税専門官 | 基礎能力・専門試験 | 4,400円 |
| 東京都・特別区Ⅰ類 | 教養・専門試験 | 3,960円 |
| 国家総合職 | 基礎能力・専門試験 | ー |
| 地方上級/市役所上・中級 | 教養試験ほか | ー |
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書影と書誌は楽天ブックスのデータです。
国家一般職は「教養試験」から「基礎能力試験」へ名称が変わっているので、古い書名で探すと見つかりません。
過去問そのものは人事院が無料で公開しているので、直近の問題は買わなくても手に入ります。過去問500を買う価値は、年度をまたいで量をこなせることと、解説が付いていることです。
新版が出ていない本は買わなくていい
定番として名前が挙がる本のうち、いま新しく買う必要がないものを書いておきます。
過去問ダイレクトナビ
2022年以降の新版が確認できない
知識分野の縮小と時期が重なる
出るとこチェック
2025年版は政治・経済と地理の2冊だけに縮小
以前は6分野あった。残っている分野だけ検討する
センター試験向けの入門書
共通テストへの移行と知識分野の縮小で、二重に前提が変わった
国家系志望なら、ここに時間を使う場面がない
いずれも本の出来が悪くなったわけではありません。試験のほうが変わって、必要とされる場面が減っただけです。古い記事の推薦リストをそのまま信じると、ここで外します。
結局、今日なにをカゴに入れるか
ここまでの判断を1枚に畳みます。国家一般職を軸に専門ありで組む人なら、今日買えるのは11冊・24,640円です。
| タイミング | 買うもの | 計 |
|---|---|---|
| 今日(11冊) | 新・解法の玉手箱 数的推理/判断推理(各1,760円)、スー過去8 数的推理/判断推理(各2,090円)、スー過去8 憲法/行政法/民法Ⅰ/ミクロ経済学/政治学/社会学/経営学(各2,420円) | 24,640円 |
| 発売を待って(4冊) | スー過去8 民法Ⅱ/マクロ経済学(10/28)、行政学(11/26)各2,420円。財政学は改訂サイクルが別なので、例年12月〜2月の新版を確認してから(現行は7版2,200円) | 約9,460円 |
| 2月に(2冊) | 速攻の時事+実戦トレーニング編(令和9年度版の発売後) | 約2,600円 |
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総額はおよそ37,000円です。導入本(らくらくミクロ・マクロ、伊藤真の民法入門)は過去問の解説が読めなかった科目にだけあとから足してください。最初から積むと読み切れません。
志望先で2方向に分岐します。東京都・特別区を併願に足すなら知識科目の3冊(スー過去8 人文科学/自然科学/社会科学・各2,090円)を追加。教養のみの試験で組むなら、上の表から専門7冊を外して6冊・約12,000円で済みます(玉手箱2・スー過去数的2・文章理解・資料解釈・社会科学)。
買う順番
以上を順番にすると、こうなります。
国家系か東京都・特別区かで、知識科目の要否が逆になります。先に参考書を買うと、ここで余ります
30題中24題が知能分野です。ここだけは過去問集より先に導入本を読みます
一度に11冊買わない。終わった科目から足していくほうが、積読になりません
過去問の解説を読んでも意味が取れない科目にだけ足します。全科目ぶんは買いません
時事は受験する年の版を買います。過去問500は時間配分の練習用です
独学でいちばん損をするのは、参考書を買いすぎることです。私が半年で11科目を回せたのは、1科目1冊を原則にして、導入本を足す科目を絞ったからでした。冊数を増やすと、どれも中途半端になります。
科目の選び方は 専門科目は11科目に収束する 併願先の重なりから決める、知識分野の題数は 公務員試験の知識科目 国家6題・東京都16題必須、数的処理の配分は 公務員試験の数的処理 24題の内訳から順番を決める、過去問の入手は 公務員試験の過去問は人事院が無料公開、全体の進め方は 公務員試験のスケジュール 試験日から逆算する計算機つき にまとめています。
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