公務員試験の知識科目は、受ける場所で答えが逆になります。国家系は6題まで縮んだので捨てても成立しますが、東京都は16題が必須解答で、捨てると教養試験の4割を落とします。特別区は20題中12題の選択です。
私は知識科目を、思い出すだけでいい科目と、ゼロから覚える科目に分けて、後者だけに時間を割きました。11科目ある専門と並行させる以上、知識に均等に時間を配る余裕はありません。財務専門官・特別区・国家一般職に受かった元公務員として、知識科目の配分を書きます。
知識科目はもう捨てていい、という話をよく見ます。半分だけ正しい。2024年の改正で国家系の知識分野は6題まで縮みましたが、東京都では16題が必須のまま残っています。捨てると教養試験の4割を落とします。
受ける場所によって答えが逆になる科目です。
この記事でわかること
- 知識科目の題数が、国家系6題・東京都16題必須・特別区20題中12題選択と大きく違うこと
- 東京都で知識を捨てると教養試験の4割を落とすこと
- 特別区は選択制なので、得意な分野だけを取りに行けること
- 特別区の知識20題のうち自然科学が8題で最多だという内訳
- 何科目やるかを、他科目との比較衡量で決める方法
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捨てていい場所と、捨てられない場所
知識科目を捨てられるかどうかは、受ける場所で正反対になります。国家系なら捨てても成立しますが、東京都では成立しません。
| 試験 | 知識の題数 | 解答の条件 | 捨てられるか |
|---|---|---|---|
| 国家総合職・一般職・専門職 | 6題 | 基礎能力試験30題の一部 | 実質できる |
| 総合職 教養区分(Ⅱ部) | 20題 | Ⅱ部として独立。1時間 | できない |
| 東京都Ⅰ類B 一般方式 | 16題 | 必須解答 | できない |
| 特別区Ⅰ類 春試験 | 20題 | そのうち12題を選択 | 8題ぶんは捨てられる |
同じ「知識科目」という言葉で、6題から20題まで開きがあります。しかも必須か選択かが違う。志望先を決めないまま知識科目の参考書を買うと、要らないものを半年やることになります。
人事院「2026年度 一般職試験(大卒程度)受験案内」5ページ、「総合職試験(春)受験案内」7ページ相当。東京都人事委員会「令和8年度 Ⅰ類B採用試験案内(一般方式)」7ページ。特別区人事委員会「令和8年度 Ⅰ類採用試験案内【春試験】」4〜5ページ。
国家系で消えたのは科目の積み上げ
国家系の知識分野は6題で、出題は「自然・人文・社会に関する時事、情報」です。日本史や物理といった科目名では書かれていません。そして「情報」が2024年の改正で新しく入りました。
消えたのは知識そのものではなく、科目ごとに積み上げるやり方のほうです。世界史の通史を追い、物理の公式を覚え、地理の気候区分を押さえる。その手間が6題に対して割に合わなくなりました。
代わりに効くのは時事です。自然も人文も社会も、時事の切り口で問われます。年度版の時事教材を1冊回すほうが、科目別の参考書を4冊買うより出題に近い。
「情報」が何を指すかは、受験案内に科目名以上の説明がありません。過去問で確かめるのが早い。人事院が2023年度から2025年度の試験問題をPDFで公開しているので、2024年度以降の問題を見れば出題の幅が分かります。
東京都は16題が必須で、逃げ場がない
東京都Ⅰ類Bの一般方式は、教養試験が五肢択一40題の必須解答です。内訳は知能24題と知識16題。選択の余地はありません。
知識の範囲は人文科学系(文化・歴史・地理)、社会科学系(法律・政治・経済)、自然科学系(物理・化学・生物・地学)、それに社会事情。つまり旧来型の知識科目がそのまま残っています。
ここで知識を捨てると、40題中16題を放棄することになります。教養試験の4割です。
しかも東京都には、教養試験が一定基準に達しない場合に論文と専門記述を採点しないという規定があります。知識を落として基準を割れば、仕上げた専門記述は読まれません。
技術区分は構成が違います。土木・建築・機械・電気などでは知能27題が必須で、知識は社会事情3題が必須、その他14題から10題を選択。行政区分の数字をそのまま当てはめると合いません。
特別区は選択制だから、得意だけ取れる
特別区の春試験は、教養試験が48題中40題の解答です。知能28題が必須で、知識は20題のうち12題を選びます。8題ぶんは手を付けなくていい。
この選択制が効きます。内訳を見てください。
特別区Ⅰ類 春試験 知識分野20題の内訳(12題を選択)
- 自然科学 8
- 人文科学 4
- 社会科学 4
- 社会事情 4
出典 特別区人事委員会「令和8年度 Ⅰ類採用試験案内【春試験】」4ページ。20題から12題を選ぶ。
自然科学が8題で最多です。理系の人はここだけで12題のうち8題を埋められます。
逆に自然科学が苦手なら、人文科学4題と社会科学4題と社会事情4題で12題ちょうど。自然科学を1題も解かずに必要数が揃います。
地理と思想は範囲が狭く、流れを追う必要もないので、私はクイマス1冊で済ませました。歴史のように導入本を挟む手間がかからない分野です。選べる知識のなかでは、いちばん安上がりな枠だと思います。
何科目やるべきか、という問いには、特別区についてだけ数字で答えが出ます。12題ぶん取れる組み合わせを1つ作れば足ります。全部に手を出す必要はありません。
教養区分だけ知識が独立している
総合職の教養区分は、他の区分と扱いが違います。基礎能力試験がⅠ部とⅡ部に分かれていて、Ⅱ部が知識分野20題(自然・人文・社会)で1時間。配点は2/24です。
Ⅰ部が知能24題と時事・情報6題なので、教養区分を受ける人だけは国家系でありながら従来型の知識科目を用意することになります。他の区分の感覚で捨てると、20題をまるごと落とします。
24題
Ⅰ部 知能分野
6題
Ⅰ部 時事・情報
20題
Ⅱ部 知識分野(配点2/24)
何科目やるかは、他科目との差し引きで決める
知識科目を何科目やるべきか、という問いに一律の答えはありません。大学受験でどの科目を選んだか、文系か理系かで、同じ1科目にかかる時間がまるで違うからです。
決め方は差し引きです。知能分野で何題取れるかを先に見積もって、足りないぶんを知識で埋める。
- 数的処理が安定しないなら、知識で多めに取る必要がある。特別区なら自然科学8題を含めて広く用意する
- 数的処理と文章理解が取れているなら、知識は最小限でいい。特別区なら4題×3分野で12題ちょうどを狙う
- 東京都は必須なので、この計算が使えない。16題ぶんは全部やる前提で組む
私は知識科目を、過去に一度やった科目と、まったく触れたことのない科目に仕分けるところから始めました。
ゼロから始める科目と、思い出すだけの科目では、かかる時間が3倍くらい違います。ここを先に仕分けておくと、見積もりが狂いません。
初学か既習かで手順を変える
知識科目は暗記の比重が高いので、教材の選び方より順番のほうが効きます。
初めて触る科目
いきなり問題集に入ると、用語が頭に入らないまま解説を読むことになります。とくに歴史は、流れが分からないと個々の出来事が覚えられません。解説の厚い導入書を1冊はさんでから、問題集に進みます。
私は自然科学、日本史、世界史をこの順で進め、高校生向けの基礎解説本を先に読んでから問題集に移りました。自然科学で使ったのは「センター面白いほど」の系統です。
高校生向けは説明が丁寧で理解しやすい。しかも公務員試験の自然科学も基礎しか出ないので、レベルがほぼ同じです。用語だけ暗記しようとして手が止まる、という事態は避けられました。
大学受験でやった科目
導入は飛ばして、問題集から入ります。忘れているだけなので、解きながら思い出すほうが速い。ここで導入書に戻ると時間を捨てます。
教材は解説ページの厚さで選ぶ
知識分野の問題集は、解説のページ数に差があります。教養科目を1冊に詰め込んだものは、1分野あたりの解説が1ページしかないこともある。用語を覚える科目でこれはつらい。
分冊になっていて解説が厚いもののほうが、知識分野では扱いやすい。章末に一問一答がついていると、暗記の確認がその場で済みます。
専門科目はほぼ全部スー過去で通しましたが、知識分野だけは同じ選び方をしませんでした。自然科学と人文科学は、スー過去よりクイマスのほうがレジュメの量も問題量も多い。いまも同じ基準で選ぶと思います。
専門は1冊を回し切る科目、教養の知識は分野ごとに合う本を拾う科目。そう分けたほうが早い。
ただし版は2024年以降のものにしてください。2023年以前の版は、国家系の知識分野が科目別に構成されていた時代のもので、いまの出題と対応していません。
手をつける順番
ここで答えが正反対になる
捨てる選択肢はない
自然科学8題を使うか使わないかで戦略が変わる
かかる時間が3倍違う。ここを飛ばすと見積もりが狂う
改正前の版は題数が合わない
知識科目は「もう要らない」と言われがちですが、正確には要る場所と要らない場所がはっきり分かれただけです。分かれ方を知っていれば、要らない場所で時間を使わずに済みます。
制度全体の形は 公務員試験の全体像 2024年改正後の現在地、知能分野の配分は 数的処理の比重は上がった、教材の版の選び方は 過去問は人事院が公開している、知識が縮んだぶん比重が上がった科目は 公務員試験の文章理解は30題中10題 にまとめています。
題数と構成は2026年度(令和8年度)実施分です。2027年度は改めて公表されます。出願前には必ず各実施機関の受験案内で確認してください。
掲載内容は人事院および各人事委員会の公表資料に基づきます。学習方法については個人の受験経験に基づくもので、合格を保証するものではありません。
