公務員試験の民法は、国家一般職と特別区でそれぞれ10題あります。専門科目のなかで最大の塊です。
そして最も脱落者が出る科目でもあります。範囲が広く、途中まで読んでも全体が見えないからです。私はスー過去を3回から5回まわした科目のひとつがこれでした。独学で国家一般職・特別区・財務専門官に受かった元公務員の記録です。
独学者が公開している勉強法と、自分が実際にやったことを並べて書きます。
この記事でわかること
- 民法が10題あり、専門科目のなかで最大の塊であること
- 途中で挫折する原因が、科目の性質そのものにあること
- 導入本を1冊で完結するものにする理由
- 独学者に共通している型と、自分がやったことの違い
- 家族法をどこまでやるか
この記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれています。紹介しているのは私が実際に使った本か、受験案内と出版社の情報で現行版を確認した本だけです。リンクの有無で順番を変えてはいません。
公務員試験の民法は10題ある
民法は専門科目のなかで出題数が最大です。1科目ではなく2科目ぶん用意されています。
国家一般職は16科目から8科目を選ぶ形で、民法は「総則・物権」と「債権・親族・相続」に分かれて各5題。2つ取れば10題で、選んだ40題の4分の1になります。特別区も11分野のうち2つが民法です。財務専門官では選択科目として民法・商法があります。
国家一般職 専門試験40題に占める民法(8科目を選ぶ場合)
民法を2つ取ると10題。選んだ40題の4分の1が民法になる。
出題数が多いということは、仕上げれば得点源になり、落とせば穴が大きいということです。民法を切ると、残りの科目から8科目を埋めるのがかなり苦しくなります。科目全体の組み方は専門科目は11科目に収束するに書きました。
挫折する原因は、科目の性質そのものにある
民法で脱落するのは、理解力の問題ではありません。全部やって初めて全体像が見える科目だからです。
民法が定めているのは、物に関する権利義務、家族に関する権利義務、契約に関する権利義務といった、生活の広い範囲のルールです。これらが互いに絡みます。
たとえば売買のルールを勉強しても、売買する「物」のルールを知らないと理解は固まりません。そこに未成年者が契約した場合はどうなるか、売る物に担保が設定されていたらどうなるかが乗ってきます。制限行為能力者制度や担保物権という別のルールが、同じ事例のなかに顔を出す。
だから途中で「分からない」が必ず出ます。ここで多くの人がやめます。
分からないルールが出てきたら、まだ勉強していないから当たり前だと割り切ってください。民法の分からなさは、理解不足ではなく進度不足であることがほとんどです。ルール自体は明瞭なので、全部通ってしまえば点数は安定します。出題数が多いので、そこまで行けば得点源になります。
導入本は1冊で完結するものを選ぶ
民法は導入本を入れる価値がある科目です。ただし条件があります。
1冊で全体をカバーしているものにしてください。前章のとおり、民法は各分野の繋がりを掴んで初めて全体像が見える科目です。総則・物権・担保物権・債権・家族法が2冊3冊に分かれていると、俯瞰するだけで労力がかかります。
簡潔であることと、項目同士の参照ができること。読み切るのが目的ではなく、何度も回して繋がりを立体的に掴むのが目的なので、分厚い本は向きません。参照ページを行き来しながら周回できる構成がいいです。
もうひとつ、憲法のときと同じ考え方を書いておきます。法律や経済のように学問として確立している科目は、導入本を公務員試験用に拘る必要がありません。全体像を掴むのが導入本の役割なので、一般向けに書かれた入門書で十分です。本の具体名は参考書の記事にまとめました。
なお、民法は暗記科目だと言われてきましたが、考察や学説を問う出題も入るようになっています。要件と効果を覚えるだけでは届きにくい。導入本で考え方を入れてからスー過去に移る順序は、ここで効きます。
独学者に共通している型と、自分がやったこと
独学の合格体験記を読むと、やり方はかなり似通っています。そこに自分のやったことを並べます。
| よく書かれている型 | 私の場合 |
|---|---|
| スー過去は3周から5周 | 同じ。ただし民法は多めに回した |
| 1周目は考え込まず、解いたらすぐ解説を見る | 同じ。レジュメページにもすぐ戻っていた |
| 1周目は頻出テーマに絞る | 同じ。重要論点だけ |
| 家族法は捨ててよい | レジュメだけ読んだ。深くはやっていない |
| 間違えた問題を管理する | スー過去に付箋を貼っていた。別のノートは作っていない |
| 平日2時間、休日8時間 | 1日3時間から6時間。大学が無い日は多め |
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大筋は同じです。つまり民法の勉強法そのものに、特別な裏技はありません。解いて、すぐ解説を見て、分からなければレジュメに戻って、回数を重ねる。それだけです。
違うのは勉強時間の形でした。平日2時間・休日8時間という配分をよく見かけますが、私は1日3時間から6時間で、休日に極端に寄せていません。大学が無い日に多めにやる程度です。週末にまとめて取る形は、民法のように前回の続きが積み上がる科目だと間隔が空きすぎます。
民法に多く回したのは、教養を捨てたからだった
ここがいちばんの違いです。
独学の定石は「絞る」です。科目を絞る、テーマを絞る。ところが私は専門11科目を全部やっています。一見すると定石の逆ですが、絞らなかったわけではありません。絞った場所が違いました。
教養のほうを切っています。数的処理と時事くらいに留めて、残りは基本的に専門で稼ぐ設計にしました。教養は範囲が広いわりに1題あたりの重みが軽く、費用対効果が悪いと判断したからです。
そして浮いた時間を専門に回しました。その配り方も均等ではありません。憲法、行政法、民法、ミクロ、マクロの5科目を多めに回して、他は数周で止めています。
よくある絞り方
- 受ける科目の数を減らす
- 科目内のテーマを削る
- 教養と専門をバランスよく
絞る軸が違う
私の絞り方
- 教養を数的と時事まで削る
- 専門は11科目そろえる
- 主力5科目に周回を集中させる
この5科目は、国家一般職・特別区・財務専門官で重なる主力です。配点の重なりが、そのまま周回数になっていると言えます。民法に多く回したのは民法が難しいからではなく、どこを受けても10題ぶん乗るからでした。
だからこの配分をそのまま真似しないでください。教養の比重が高い試験を主軸にするなら、逆の配り方になります。どこで稼ぐかを先に決めると、周回数は自動的に決まります(捨て科目は志望先で変わる)。
家族法をどこまでやるか
家族法は後回しでかまいません。ただし完全に切るのとは違います。
民法で頻出なのは総則、債権総論、債権各論です。家族法は出題数が少なく、しかも他の分野との繋がりが薄いので、投じた時間が返ってきにくい。独学の記事では「捨ててよい」と書かれることが多く、その判断自体は妥当だと思います。
私はレジュメページだけ読んで、問題演習は深くやりませんでした。完全に飛ばしたわけではありません。理由は単純で、レジュメを読むだけなら時間がかからないのに、出たときに1題拾える可能性が残るからです。
読むだけ
レジュメページに目を通す
私はここで止めた。出たときに1題拾える可能性が残る
過去問まで
問題演習を1周する
総則と債権が仕上がっていて、時間が余るなら
周回まで
主力科目と同じ扱い
出題数が少なく、他分野との繋がりも薄いので、ここまでは要らない
切るかどうかではなく、どの深さで触るかで考えると選択肢が増えます。全部やるか全部切るかの二択にすると、こういう中間が消えます。
公務員試験の民法に使う参考書と、第8版の発売日
民法Ⅰは出ていますが、民法Ⅱの第8版は10月28日です。秋に始める人はここで判断が要ります。
| 役割 | 本 | 税込・発売日 |
|---|---|---|
| 過去問集Ⅰ | 新スーパー過去問ゼミ8 民法Ⅰ(総則・物権) | 2,420円・2026/9/9 |
| 過去問集Ⅱ | 同 民法Ⅱ(債権・親族・相続) | 2,420円・2026/10/28 |
| 導入本 | 伊藤真の民法入門 講義再現版(日本評論社) | ー |
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書影と書誌は楽天ブックスのデータです。
民法Ⅱだけ発売が1か月半ほど後ろです。マクロ経済学も同じ10月28日、行政学は11月26日です。
私の答えは第7版で始めることです。民法は出題の骨格が動いていないので、版差より着手が遅れることのほうが痛い。10題ある科目を1か月半空けるのは、どう考えても損のほうが大きいです(参考書の記事)。
回し方は科目で変えていません。1周目は頻出・重要論点だけを解きます。全テーマはやりません。解いたらすぐ解説を見て、分からなければレジュメページにもすぐ戻る。考え込む時間を作らない、というのが唯一のルールでした。
周回数はここで差を付けています。憲法・行政法・民法・ミクロ・マクロの5科目は3周から5周、それ以外は数周で止めました。間違えた問題はスー過去に付箋を貼るだけで、別のノートは作っていません。勉強時間は1日3時間から6時間で、大学が無い日は多めです。
手をつける順番
民法を仕上げる順番です。
憲法が法律科目の入口です。民法は私法の一般法で、あとに続く行政法の前提にもなります
読み切るのが目的ではありません。分野の繋がりを立体的に掴むまで何度も回します
考え込まない。分からなければレジュメページに戻ります。まず1周を終わらせます
別のノートは作りません。2周目以降はその付箋から入ります
読むだけなら時間がかかりません。深追いするなら総則と債権に回します
民法は、やめなければ必ず安定する科目です。難しいのは中身ではなく、全体が見えるまで走り続けられるかどうかだと思っています。
科目の選び方は 専門科目は11科目に収束する 併願先の重なりから決める、憲法の入り方は 公務員試験の憲法は導入本を省ける 判例から入る、経済学の順番は 公務員試験の経済学 ミクロの前にもう一段ある、本の選定は 公務員試験の独学におすすめの参考書 現行版で11科目、民法の次に置く科目は 公務員試験の行政法は全体像から 判例とセットで覚える にまとめています。
出題数と科目構成は2026年度(令和8年度)の受験案内に基づきます。年度ごとに変わるため、受験する年の案内で確認してください。
学習方法は個人の受験経験に基づくもので、合格を保証するものではありません。
