公務員試験の経済学は、ミクロとマクロの前にもう一段あります。そこを飛ばすと公式の丸暗記になって、形を変えられた瞬間に崩れます。
私は文学部でしたが、財務専門官の専門記述で経済学を選んで8割を取りました。平均は5割5分です。使った教材はスー過去だけで、特別なことはしていません。順番を守っただけです。財務専門官の枠で入庁した元公務員の、独学の順番です。
その順番を書きます。
この記事でわかること
- ミクロとマクロの前に経済学の基礎を一段挟む理由
- ミクロが先でマクロが後になる理由
- 計算のパターン暗記が通用しにくくなっていること
- 専門記述で経済学を選ぶと、択一の勉強がそのまま乗ること
- 私が記述で8割を取ったときの実際の中身
- 経済学を捨てる判断ができる試験と、できない試験
この記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれています。紹介しているのは私が実際に使った本か、受験案内と出版社の情報で現行版を確認した本だけです。リンクの有無で順番を変えてはいません。
公務員試験の経済学は、出題数が多いわりに捨てにくい
経済学は捨てられません。出題数が多く、他の科目にも波及するからです。
国家一般職の専門試験は16科目から8科目を選ぶ形で、ミクロ経済学とマクロ経済学はそれぞれ5題。2科目を取れば10題になります。さらに財政学・経済事情が別に5題あって、これは経済学の知識が前提です。経済系だけで15題、8科目40題のうち3科目ぶんを占めます。
財務専門官はもっと直接的です。必須28題のうち14題が「経済学・財政学・経済事情」で、選択の余地なく半分が経済系です。私が財務専門官を主軸にしたのもここが理由でした(専門科目は11科目に収束する)。
国家一般職 専門試験で経済系が占める位置(8科目40題を選ぶ場合)
8科目40題のうち、経済系3科目で15題。4割近くを占める。数は人事院「2026年度 一般職試験(大卒程度)受験案内」の出題科目から数えた。
数式とグラフが出てくるので敬遠されますが、専門試験のある試験を受けるなら、経済学を捨てる選択はほぼ成立しません。捨てられる試験については最後の章で書きます。
ミクロとマクロの前に、もう一段ある
経済学でつまずく人の多くは、順番を1つ飛ばしています。
ミクロ経済学とマクロ経済学は、大学では2年から4年に開講される専門科目です。その前の1年次に「経済原論」にあたる基礎科目が置かれています。経済学独特の考え方とツールを先に入れる時間が、カリキュラムの側にあらかじめ用意されているということです。
試験勉強でここを飛ばすと、無差別曲線や弾力性が「そういうもの」として降ってきます。意味が分からないまま計算の手順だけ覚えることになるので、問題の形が変わると手が止まります。
私もミクロの前に基礎を一段挟みました。文学部だったので経済学部の講義を履修しています(公務員試験の勉強を大学の講義で前倒しする)。大学で取れない場合は、公務員試験向けの入門書で代替できます。本の選び方は参考書の記事にまとめました。
1段目
経済学の基礎(経済原論にあたる範囲)
考え方とツール。ここを飛ばすと後が全部暗記になる
2段目
ミクロ経済学の導入 → スー過去
個々の主体と個別の事案
3段目
マクロ経済学の導入 → スー過去
1国ベースと国際ベース
4段目
財政学
経済学が入っていれば軽い。時事が絡む
ミクロが先、マクロが後になる理由
順番はミクロが先です。逆にすると遠回りになります。
ミクロ経済学が扱うのは、個人や企業といった個々の主体と、独占や寡占といった個別の事案です。マクロ経済学が扱うのは1国ベースと国際ベースの分析になります。
1国を分析するには、その中にいる個々の主体がどう動くかを先に知っている必要があります。だからミクロが先です。マクロから入ると、前提にしている部分を知らないまま式を追うことになります。
1番目 ミクロ
個人や企業という個々の主体、独占や寡占といった個別の事案
1国を見る前に、その中にいる主体の動きを知る
2番目 マクロ
1国ベースと国際ベースの分析
ここから入ると、前提を知らないまま式を追うことになる
3番目 財政学
経済学の各論にあたる分野を含む
経済学が入っていれば軽い。飛ばすと同じ論点を2回やる
財政学はさらに後です。経済学が入っていれば負担はかなり軽くなります。逆に経済学を飛ばして財政学から入ると、同じ論点を2回やることになります。
計算のパターン暗記は通用しにくくなっている
経済学のコツは理解に寄せることです。
「この形の問題が出たらこの解き方」というパターンを数十個覚えれば足りる、という言い方があります。かつてはそれでも通りました。ただ出題は理論寄りに動いていて、国家一般職のミクロ5題が全部理論問題という年もありました。計算のパターンだけを持っていると、こういう年に全滅します。
全部を理解しようとして、どうしても腑に落ちない論点だけパターンで押さえる。この順序が安全です。逆にすると、理解できるはずだった論点まで暗記に回してしまいます。
導入本を選ぶときの基準は「なぜそうなるか」が書いてあるかどうかです。公式が出てくるたびに「経済学ではこう考えます」と説明を省いて丸暗記させる本があります。短期的には速いのですが、理論問題で効きません。説明が厚い本を1冊やるほうが、結局は速く終わります。
専門記述で経済学を選ぶと、択一がそのまま乗る
財務専門官と東京都には専門記述があります。ここで経済学を選ぶと、択一の勉強がほぼそのまま使えます。
私は財務専門官の記述で経済学を選びました。結果は8割で、平均は5割5分。やったことはスー過去を回しただけで、記述用の対策は特にしていません。当日出たのは無差別曲線まわりの論点でした。
記述が狙い目なのは、平均が低いからです。2026年度の財務専門官は満点100に対して平均51.571、標準偏差21.160。人事院の公表値です。8割なら偏差値63台に相当します。配点比率は記述だけで9分の2あるので、ここで前に出ると効きます。
51.6点
専門記述の平均(100点満点)
2/9
記述の配点比率
8割
私が取った点(当時)
記述で経済学を選ぶ利点は、覚える量が増えないことです。憲法や民法を記述で選ぶと条文と判例の正確な再現が要りますが、経済学はグラフと式で説明できます。択一で理解を作ってあれば、追加の暗記がほとんど発生しません。
答案の組み立て方そのものは教養論文と専門記述の書き方に分けて書きました。
経済学が面白かったので、就職先もそれで決めた
ここは勉強法ではなく、その先の話です。
私が財務局を志望したのは、試験勉強で経済学と財政学をやって面白かったからでした。覚えた知識をそのまま仕事で使えるなら、それがいいと思っていました。国家一般職と財務専門官の両方に合格して、財務局を選んでいます。
配属された金融監督の系統では、金融機関の財務諸表を分析する仕事はありました。それでも1日の大半は別のところに消えています(財務専門官の仕事内容)。
それでも、経済学を「得点源」ではなく「面白い科目」として扱えたことが、半年で仕上げられた理由だったとは思います。嫌いな科目を10題ぶん積むのは、理解の問題ではなく続くかどうかの問題です。順番を守るのは、点を取るためでもありますが、嫌いにならないためでもあります。
経済学を捨てられる試験、捨てられない試験
捨てる判断ができるかどうかは、受ける場所で決まります。
捨てにくい
- 財務専門官(必須28題の半分が経済系)
- 国家一般職(16科目から8科目選ぶので、経済を外すと選択肢が狭い)
- 東京都・特別区(専門で経済系の分野がある)
受ける場所で変わる
捨てる余地がある
- 教養試験のみの枠
- 適性検査型(SPI・SCOA)の枠
- 一部の市役所
国家一般職は16科目から8科目を選ぶ形なので、理屈のうえでは経済学を外せます。ただミクロ・マクロ・財政学の3科目15題を落とすと、残りから8科目を埋めるのがかなり苦しくなります。行政系や法律系で穴埋めすることになり、結局は総量が増えます。捨て科目の考え方は捨て科目は志望先で変わるに整理しました。
教養試験だけの枠や適性検査型を主軸にするなら、経済学の勉強そのものが不要になります。この判断は科目の勉強を始める前にやってください。先に経済学を2か月やってから志望先を変えると、その2か月が丸ごと浮きます。
公務員試験の経済学に使う参考書と、マクロの発売日
ミクロの第8版は出ていますが、マクロは10月28日です。順番がミクロ先なので、実害は小さいほうです。
| 役割 | 本 | 税込・発売日 |
|---|---|---|
| 過去問集(ミクロ) | 新スーパー過去問ゼミ8 ミクロ経済学 | 2,420円・2026/9/9 |
| 過去問集(マクロ) | 同 マクロ経済学 | 2,420円・2026/10/28 |
| 導入本 | 試験対応 新・らくらくミクロ経済学入門/同 マクロ経済学入門(講談社サイエンティフィク) | ー |
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書影と書誌は楽天ブックスのデータです。
この科目はミクロが先、マクロが後という順番が決まっています。だからマクロの第8版が10月28日でも、秋に始める人はあまり困りません。ミクロを立ち上げている間に発売日が来ます。民法Ⅱや行政学とは事情が違います。
導入本を足す価値があるのは、専門科目では経済学と民法だけです。理論の積み上げがあるので、途中から読んでも意味が取れません。行政系の4科目に導入本は要りません(参考書の記事)。
回し方は科目で変えていません。1周目は頻出・重要論点だけを解きます。全テーマはやりません。解いたらすぐ解説を見て、分からなければレジュメページにもすぐ戻る。考え込む時間を作らない、というのが唯一のルールでした。
周回数はここで差を付けています。憲法・行政法・民法・ミクロ・マクロの5科目は3周から5周、それ以外は数周で止めました。間違えた問題はスー過去に付箋を貼るだけで、別のノートは作っていません。勉強時間は1日3時間から6時間で、大学が無い日は多めです。
手をつける順番
ここまでを順番にします。
教養のみの枠や適性検査型なら要りません。始めてから気づくと、かけた時間が丸ごと浮きます
ミクロでもマクロでもない、考え方とツールの部分。大学で取れるなら講義で済ませます
マクロに進む前にミクロを終わらせます。並行しない
ミクロの理解が土台になるので、2周目の立ち上がりは速くなります
経済学が入っていれば軽く済みます。時事が絡むので、受験する年の時事対策と一緒に進めます
経済学は、敬遠される割に順番さえ守れば崩れない科目です。難しいのは中身ではなく、入り方を1段飛ばすと取り返しにくいところだと思っています。
科目の選び方は 専門科目は11科目に収束する 併願先の重なりから決める、本の選定は 公務員試験の独学におすすめの参考書 現行版で11科目、記述の書き方は 公務員試験の論文 教養論文と専門記述の書き方、捨てる判断は 公務員試験の捨て科目は志望先で変わる、経済学の後ろに置く科目は 公務員試験の財政学は最新版で ミクロ・マクロの後に置く にまとめています。
出題数・配点比率・平均点は2026年度(令和8年度)の人事院公表値です。年度ごとに変わるため、受験する年の受験案内で確認してください。
学習方法は個人の受験経験に基づくもので、合格を保証するものではありません。
