国家系の試験だけを受けるなら、公務員試験の人文科学は対策しなくて構いません。地方上級・特別区・東京都を受けるなら、スー過去の人文科学1冊(日本史・世界史・地理・思想)で大学受験で取った科目から入り、3問中2問で止めます(人文科学に使う参考書)。
私は文学部ですが、公務員試験の日本史と世界史を一度も対策していません。教養は数的処理と時事くらいに絞って、残りは全部専門に回したからです。財務専門官に独学で受かった元公務員として、その判断を説明します。
当時はそれで通りました。そしていま同じ判断をする人は、当時より多くなるはずです。2024年度の改正で、国家系の試験から人文科学という科目そのものが消えたからです。
この記事でわかること
- 国家系では人文科学が科目として存在しなくなったこと
- いま人文科学が残っている試験と、その出題数
- 地方上級では6題から8題あり、捨てると苦しくなること
- 日本史は鎌倉以降だけで足りる、という範囲の切り方
- 日本史・世界史と地理で、かける時間を変える理由
この記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれています。紹介しているのは私が実際に使った本か、受験案内と出版社の情報で現行版を確認した本だけです。リンクの有無で順番を変えてはいません。
公務員試験の人文科学は、国家系から消えた
国家一般職・国税専門官・財務専門官の基礎能力試験に、人文科学という枠はもうありません。
2024年度の改正で、基礎能力試験は40題から30題に減りました。知識分野は6題に縮小され、名前も「自然・人文・社会に関する時事、情報」に変わっています。日本史、世界史、地理、思想という科目の積み上げで点を取る形が、国家系については成立しなくなりました。
国家系の基礎能力試験、知識分野の縮小
30題のうち知識は6題。しかもその6題は時事と情報に寄っていて、人文科学だけを狙って取りにいく設計になっていない。
この変化は、勉強法の記事の寿命を区切ってしまいました。国家系を前提に書かれた人文科学の対策は、どれだけ丁寧でも、いまは読む意味がありません。ネット上の記事を読むときは、国家系を前提にしているのか地方を前提にしているのかを先に確かめてください。
私が受験した当時は、まだ知識科目が積み上がっていた時代です。そのうえで対策していません。当時でも費用対効果が悪いと判断していました。いまはその判断がもっと通りやすくなっている、という関係です(知識科目をどこまでやるか)。
公務員試験の人文科学が残っているのは、どの試験か
人文科学が科目として残っているのは、地方上級、特別区、東京都、そして国家総合職の教養区分です。
残っている側では出題数がそれなりにあります。特に地方上級は6題から8題で、切ると他で埋めるのが苦しくなる水準です。
| 試験 | 人文科学の扱い |
|---|---|
| 国家一般職・国税・財務 | 科目として無し。知識分野6題が「自然・人文・社会に関する時事、情報」 |
| 国家総合職(教養区分) | Ⅱ部の知識分野20題。ここだけ従来型の知識科目が残っている |
| 特別区Ⅰ類(春・事務) | 知識20題中12題選択のうち人文科学4題 |
| 東京都Ⅰ類B(一般方式・行政) | 知識16題必須に人文科学系(文化・歴史・地理)が含まれる |
| 地方上級(県庁・政令市) | 型によるが日本史・世界史・地理で6題から8題 |
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特別区と東京都の違いに注意してください。特別区は20題から12題を選ぶ選択制なので、人文科学を飛ばして自然科学で埋められます。東京都は知識16題が必須解答で、逃げ場がありません。同じ東京の試験でも、知識科目の設計が逆です(都庁と特別区はどっちを受けるか)。
公務員試験の人文科学は、範囲を削ってから入る
人文科学を取ると決めたなら、最初にやるのは範囲を削ることです。全範囲を高校の教科書どおりに追うと終わりません。
地方上級に合格した受験生が、日本史・世界史・地理の勉強法を科目ごとに公開していました。この人は人文科学だけで記事を1本書いていて、いいねが126付いています。範囲の切り方が具体的なので、要点を引きます。
日本史は鎌倉時代から最後まで。出題のほとんどが鎌倉・室町以降なので、そこから始めれば足りる。これで3問中2問は安定したそうです。
世界史は最初から最後まで。途中から読むと理解度が落ちるうえ、中国史や中央アジア・西アジアからも出るため、全体を通す。こちらも3問中2問。
地理は過去問だけ。範囲が狭く流れで困らないので、過去問集を2回読む程度。1問取れれば御の字という構えです。
ここで効いているのは、3問中3問を狙っていないことです。「1問はやたら難しい問題を組み込んでくるので解ける必要はない」と書いています。2問取れる状態を作って止める。知識科目で満点を取りにいかない、という配分の判断がはっきりしています。
もうひとつ、日本史と世界史に時間を寄せる理由も挙がっていました。歴史をやると社会科学の理解度も上がるので、得点が間接的に増える。地理にはその相乗効果が薄い、という切り分けです。重なりで科目の優先順位を決めるやり方は、専門科目でも同じでした(政治学の記事)。
公務員試験の人文科学を、全部捨てるという選択
捨てる人は本当に捨てています。しかもそれで受かっています。
都庁Ⅰ類Bに合格した受験生は、知識11題分をまるごと放棄したと書いています。人文科学4題、自然科学4題、社会科学3題を全部②にマークする、という決め方です。理由は、5択なのでマークすれば2問前後は当たる計算が立つことと、その時間を数的処理と専門記述に回せることでした。
この人は12月から勉強を始めて、1か月以上余らせて合格しています。「全ての科目を学習する必要がない」と言われて勉強時間が激減した、というのが本人の総括です。ただし、知識が必須解答である都庁で11題を捨てるのは、数的処理16題と専門記述で返せるという計算があってのことです。数的が苦手な人が同じ真似をすると、返す場所がありません。
私の場合も、結果として捨てる側でした。教養で時間を割いたのは数的処理と時事だけです。そのぶんを専門11科目に回しました。国家総合職以外は専門択一の平均点が高くないので、専門で稼げば教養が振るわなくても届く、という計算です。実際、2026年度の財務専門官は専門択一40点満点で平均23.793点でした。
ここで1つ、よく見る言い方を否定しておきます。「人文科学は範囲が広いから捨てるべき」は、理由が雑です。捨てるかどうかを決めるのは範囲の広さではなく、削った時間をどこで返すかです。返す先が無いまま捨てると、ただ点が減ります。
公務員試験の人文科学に使う参考書と、買わなくていい本
現行版は4科目が1冊にまとまっています。そして、定番だった導入本のほうは買う必要がなくなりました。
| 役割 | 本 | 税込・発売日 |
|---|---|---|
| 過去問集 | 新スーパー過去問ゼミ8 人文科学(実務教育出版) | 2,090円・2026/9/2 |
| 知識分野をまとめて | 寺本康之の超約ゼミ ここだけ!時事&知識分野 | ー |
| 買わなくていい | 過去問ダイレクトナビ/出るとこチェック/センター試験向けの入門書 | ー |
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教養分野の第8版は2,090円で揃っています。人文科学はA5判508ページで、日本史・世界史・地理・思想が1冊です。以前は科目ごとの分冊でした。
下の段が大事なところです。過去問ダイレクトナビは2022年以降の新版が確認できず、出るとこチェックは2025年版で政治・経済と地理の2冊だけに縮小しています。センター試験向けの入門書も、共通テストへの移行と知識分野の縮小で二重に前提が変わりました。本の出来が落ちたのではなく、試験のほうが変わって必要な場面が減っただけです。
未習の歴史に流れを入れたいなら導入本は要りますが、国家系志望ならその場面がありません。知識分野が6題で時事中心だからです。買う順番の全体は参考書の記事に整理しました。
手をつける順番
知識分野は6題で、時事と情報に寄っています。人文科学として積み上げる対象がありません
数的処理か、専門科目か。返す場所が無いなら捨ててはいけません
既習科目は過去問集だけで戻ります。未習の科目を新しく立ち上げるのは最後です
歴史は流れが要ります。問題集のレジュメページだけでは用語が並んでいるだけで頭に入りません
残り1問は難しく作られています。そこを追うなら数的処理に1問積むほうが確実です
人文科学は、受ける試験によって存在したりしなかったりする科目になりました。やるかやらないかを論じる前に、自分の併願先にこの枠があるかどうかを数えるのが先です。
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出題数と科目構成は2026年度(令和8年度)の受験案内に基づきます。年度ごとに変わるため、受験する年の案内で確認してください。
この科目は私が対策していません。受験案内から数えられることと、公開されている合格体験記を読んだ範囲で書いています。
