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公務員試験の捨て科目 国税・特別区など志望先別に判定

2026 10/15
公務員試験
2026年9月25日2026年10月15日

公務員試験の捨て科目は、出題数ではなく併願先で決まります。国家一般職だけなら国際関係・心理学・教育学・英語の4科目を切れますが、国税専門官を足した瞬間に会計学が必須になります。

私は会計学を捨てました。当時は簿記を持っておらず、仕訳から積み上げる科目に手を出す余裕がなかったからです。そのかわり、同じ日程の国税専門官ではなく財務専門官を受けました。財務専門官を選んで財務局に入った、元公務員の判断です。

国税の会計学は選択ではなく必須問題としても出ます。国税を併願先に残したまま会計学を切ると、択一で埋められない枠が固定で残る。だから切る前に、受ける試験のほうを決めました。

捨て科目は配点の大小で選ぶものではありません。併願先の科目リストを重ねて、どこにも出ない科目から切る。順番が逆になると、切ったあとで必須だったと気づきます。

書いた人 イザーク(元公務員の公認会計士試験合格者) プロフィール

この記事でわかること

  • 「公務員試験 捨て科目」を配点や出題数だけで決めると、併願先ごとに矛盾が起きる理由
  • 経済系3科目(ミクロ・マクロ・財政学)を切ると、特別区と国税専門官では必要数がぴったりゼロ余りになること
  • 行政系4科目(政治学・行政学・社会学・経営学)は「暗記だから捨てやすい」という通説が、併願の場面ではむしろ逆に働くこと
  • 国税専門官と東京都だけ、会計学を完全には捨てられない構造になっていること
  • 志望先をチェックするだけで、必要科目と捨てられる科目を出すシミュレーター
目次

公務員試験の捨て科目を先に決めると、併願で詰む

科目名だけを見て先に捨て科目を決めると、あとから併願先を増やしたときに矛盾が起きます。捨てた科目が、追加した志望先では必須科目だったというパターンです。

冒頭に書いた会計学がまさにこれです。科目名の一般的な重要度だけを見ると、会計学は「国税以外なら捨てていい」で片づく科目に見えます。ところが国税専門官を併願先に入れた瞬間、必須問題2題に組み込まれている科目に変わります。切る前に併願先を確定させていれば、そもそも選択肢に入らない判断です。

公務員試験の専門科目は、国家一般職なら16科目から8科目、特別区なら11分野から8分野、東京都の専門記述なら10科目から3題、国税専門官なら58題中40題という形で、試験ごとに出題プールと解答数が違います。この構造そのものは専門科目を11科目に絞り込む記事で扱った内容と同じですが、あちらは「重なりを数えて必要な科目を積み上げる」向きの計算でした。この記事はその逆で、「重ならない科目から削っていく」向きの計算をします。

結論を先に言うと、削る作業は志望先を確定させたあとにしかできません。志望先が1つ増えるだけで、削っていいはずだった科目が必須科目に変わることがあるからです。

もうひとつ、捨てると後回しにするは別の判断です。順番として最後に回した科目と、最初から選択肢に入れない科目は、見た目は似ていても直前期の対応がまったく違います。後ろに置いた科目は余裕ができれば拾えますが、捨てた科目は解答用紙の選択欄にすら入りません。ここで扱うのは後者です。択一や記述の解答欄で最初から選ばない専門科目のこと。教養の知識分野のように出題そのものが縮んだ分野や、範囲を頻出項目に絞る対応は扱いません。志望先の組み合わせから、どこにも出ないと確定できる科目だけが対象です。

経済系を切ると、受けられる試験がどう変わるか

ミクロ経済学・マクロ経済学・財政学の3科目を切ると、特別区と国税専門官では科目の余裕がゼロになります。

公務員試験の経済学は、ミクロとマクロに分かれます。どちらも大学では2年次以降に開講されることが多く、深く理解するには1年次の経済原論や経済数学が前提になります。いきなりミクロとマクロから始めても、腹に落ちるまでに時間がかかる。私が経済は基礎(原論)から回り道をしてでも入るべきだと書いてきたのは、これが理由です。

とはいえ、始めた時期によっては経済に時間を割けない人もいます。中途半端にやるくらいなら、ミクロ・マクロ・財政学をまとめて捨てるという判断もありえる。私も半年しかなかった側なので、その気持ちは分かります。問題は、それをどの試験を受けると決める前にやるか、後にやるかです。

経済系3科目(ミクロ・マクロ・財政学)を切った場合の試験ごとの影響
試験切った後の選択影響
国家一般職(16科目中8科目)実質13科目中、残り10科目から選択専門の配点が半分近くを占めるため、高得点は難しくなる
特別区Ⅰ類(11分野中8分野)経済3分野を除くと残り8分野を全部選ぶことになる経済抜きで高得点は難しいが、論文の配点が最も高いので論文中心でも合格点は取れる
国税専門A法文系(5科目中4科目)経済学を外すと残る4科目を全部選ばざるを得ない選択の自由度が消える。会計学は別枠の必須問題でもある
財務専門官(必須28題+選択12題)必須に「経済学・財政学・経済事情」が入っている経済を切ると40題のうち14題が最初から埋まらない
東京都専門記述(10科目中3題)経済学は1科目として出る程度経営学・行政学・政治学・社会学・憲法から選べば影響はほとんど出ない

正直に書きますが、地方上級や市役所試験の現行の科目構成までは裏を取り切れていません。当時も「県庁や政令市などの地方上級試験は経済学が必要なところも多いので注意する必要があります」と書いていて、そこは今も自治体ごとに差があります。受験先が決まったら、その自治体の受験案内で個別に確認してください。

まとめると、経済学を捨てても受けられる試験は多く残りますが、国家公務員系で合格するのは難しくなります(裁判所職員は除く)。地方をメインで志望しているなら捨てるのもありだと思います。間違いなのは捨てること自体ではなく、志望先を決める前に捨てることです。

特別区Ⅰ類 専門試験(11分野・8分野解答)で経済系を切った場合

残り8分野(全部必須化)
経済系3分野(削減分)
  • 憲法・行政法・民法①②・政治学・行政学・社会学・経営学 = 8
  • ミクロ・マクロ・財政学 = 3

出典 特別区人事委員会「令和8年度 特別区(東京23区)職員Ⅰ類採用試験案内【春試験】」5ページの11分野リストから算出。8分野必要な枠に対し残りがちょうど8分野で、選択の余地が消える。

行政系科目を「捨てても平気」と思っていいのか

政治学・行政学・社会学・経営学は、暗記中心で短期間でも一定点まで伸びるぶん、真っ先に捨て科目の候補として挙がりがちです。ただし併願先が複数ある場合、この4科目こそ最も切りにくい科目群になります。

私は法律から入って経済、行政系という順で進めました。行政系を最後に回したのは、暗記中心で立ち上がりが速く、直前期でも間に合うと踏んだからです。ただしこれは順番の話で、切る判断とは別でした。暗記だから短時間で済むという感覚のまま切る科目まで暗記科目から選ぶと、併願先の必須分野を落とします。

理由は単純で、この4科目は国家一般職・特別区・東京都の専門記述のすべてに共通して含まれているからです。社会科学系の中で唯一「切ると即、複数の併願先で選択肢が減る」科目群がここに集まっています。逆に法律科目や経済科目は、範囲が重い分だけ準備に時間がかかりますが、切ったときの影響は経済系のところで見たとおり試験ごとに違いがあります。

「暗記科目だから後回しにしていい」という考え方自体は誤りではありません。手をつける順番の話としては合っています。ただ、それを「後回し」ではなく「捨てる」に変換した瞬間、話が変わります。行政系4科目を丸ごと捨てると、特別区でも東京都の記述でも代わりに使える科目がほとんど残っていません。捨てるかどうかの判断と、後回しにするかどうかの判断は、別の軸で考える必要があります。16科目を「この科目を切ると、4つの志望先のうち何試験で選択肢が減るか」という軸で並べ替えると、優先順位の見え方が変わります。

科目を切ったときに影響が出る試験数(国家一般職・国税専門官・東京都記述・特別区の4試験中)
科目影響する試験数内訳
憲法・行政法・民法①②・ミクロ・マクロ・財政学・社会学・経営学44試験すべてに出題。実質的に切れない科目群
政治学44試験すべてに出題
行政学3国税専門Aの出題科目に含まれない
会計学2国税専門A(必須)と東京都記述のみ
国際関係・心理学・教育学・英語(基礎・一般)1国家一般職のみ。他の3試験には出題なし

この並びで見ると、切っても実害が小さいのは国家一般職だけに出る4科目(国際関係・心理学・教育学・英語)です。逆に憲法から経営学までの11科目は、併願先を1つでも複数持つ限り、ほぼ切れません。「専門科目は11科目に収束する」という別記事の結論と、この表はちょうど表裏の関係にあります。積み上げていくと11科目に着地し、削っていくと切れるのは国家一般職専用の4科目しか残らない。同じ受験案内を、足し算で読むか引き算で読むかの違いです。

国税専門官と東京都だけ、会計学を捨てられない

会計学は、国家一般職にも特別区にも出題されません。国税専門官と東京都の専門記述だけに出てくる科目です。

私が当時持っていた基準も、国税以外は捨ててよいという一般論だけでした。その一般論は、国税を受けるなら必須問題2題があるという肝心の部分を落としています。見るべきなのは科目の一般的な重要度ではなく、自分が受ける試験の受験案内そのものです。

ちなみに簿記2級を取ったのは合格後、4年の秋です。受験のためではありませんでした。国税に採用されると研修で取得を求められるので、そちらへ進むなら先に取っておいてもよかったと思います。国税専門A(法文系)では、会計学(簿記を含む)が必須問題2題に組み込まれています。選択必須問題や選択問題とは別枠の必須なので、国税を1つでも併願先に含めるなら、会計学だけは切れません。東京都Ⅰ類Bの専門記述は10科目(憲法、行政法、民法、経済学、財政学、政治学、行政学、社会学、会計学、経営学)から3題を選ぶ方式で、会計学を選ばない受験生も多いのは事実ですが、それでも出題範囲そのものからは外れません。

逆に言えば、国税と東京都のどちらも志望先に入れていないなら、会計学は完全な捨て科目にできます。国家一般職と特別区だけで併願を組む場合、簿記の知識をゼロから作る時間は他の科目に回したほうが効率的です。会計学が独特なのは、他の12科目のように法律・経済・行政系のどれにも属さない、単独の枠として存在している点です。簿記の仕訳から入る必要があり、憲法や民法のような判例知識とも、ミクロ・マクロのような数式運用とも勉強の仕方が違います。国税を志望先に入れる場合は、他の科目と並行させるのではなく、別枠として学習時間を確保したほうが進みます。

国税専門Aの選択必須問題は「民法・商法」という科目名でまとめられています。商法は民法とは別の法律ですが、公務員試験全体で商法だけを独立科目として出題する試験は多くありません。この記事の科目一覧でも「民法」の枠に含めて扱っています。独立した対策が必要かどうかは、国税を受ける場合に受験案内の出題範囲で確認してください。

専門記述についても触れておきます。国税専門Aの専門記述は憲法、民法、経済学、会計学、社会学の5科目から1科目選択で、択一で用意した科目がそのまま使えます。ここでも会計学は選択肢の1つとして生きているので、国税志望者が会計学を厚くしておく判断には記述面でも根拠があります。

会計学は国税以外なら捨てていい、という言い方をよく見ます。方向としては大きく外れていません。

ただしその説明は、東京都の専門記述に会計学が入っていることを落としています。東京都の一般方式を受けない、かつ国税も受けない。この2つがそろって初めて、会計学は本当にどこにも出ない科目になります。

公務員試験の捨て科目シミュレーター 志望先を選ぶと分かる

志望先をチェックすると、その組み合わせで必要になる科目と、どこにも出ない捨てられる科目が自動で出ます。数字は上のセクションと同じ人事院・東京都人事委員会・特別区人事委員会の受験案内に基づく16科目のデータです。

このシミュレーターを作ったのは、会計学のような「一般論では捨てていい科目」が併願先しだいで必須に変わるからです。科目ごとの重要度をいくら覚えても、併願先を全部重ねて見なければ、どこに必須科目が隠れているかは分かりません。

使い方は単純です。初期状態では国家一般職だけにチェックが入っています。ここに国税専門官や東京都、特別区、財務専門官を1つずつ足していくと、下の「捨てられる科目」がどんどん短くなります。

逆に国家一般職だけを外すと、国際関係、心理学、教育学、英語が丸ごと捨てられる側に移ります。自分が受ける可能性のある試験は全部チェックしてください。1つでも可能性が残っているなら、その試験の必須科目を「捨てられる科目」に入れないほうが安全です。

志望先チェック

用意する科目(チェックした志望先のどこかで必要)

    捨てられる科目(チェックした志望先ではどこにも出ない)

      出典 人事院「2026年度 一般職試験(大卒程度)受験案内」12ページ別表、「国税専門官採用試験受験案内」3ページ。東京都人事委員会「令和8年度 Ⅰ類B採用試験案内(一般方式)」8ページ。特別区人事委員会「令和8年度 Ⅰ類採用試験案内【春試験】」5ページ。財務専門官は人事院「2026年度 財務専門官採用試験受験案内」2ページ(必須2科目28題=憲法・行政法、経済学・財政学・経済事情/選択8科目48題から2科目12題)。

      捨てた科目より、残した科目の穴のほうが命取りになる

      「捨て科目は出題数の少ない科目から選べばいい」という説明を予備校系のまとめ記事でよく見ますが、これは順序が逆だと考えています。出題数の多さは科目単体の話であって、併願先を重ねたときにどこで穴が空くかとは関係がありません。

      前のセクションで見たとおり、行政学は国税専門官には出題されません。単体の出題数だけを見て「行政学は主要4科目の1つだから残す」と決めても、国税だけを受けるなら勉強時間が丸ごと無駄になります。出題数の多寡ではなく、併願先の集合で必要かどうかを見るほうが、時間の配分としては正確です。もうひとつ、捨てた科目より、捨てなかった科目の中の抜けのほうが危ない。

      私も国家一般職と特別区を併願していた時期、民法②を「民法①をやったから大丈夫」と軽く扱って、直前期に条文の細部が抜けていることに気づいて焦りました。科目を丸ごと切る判断は目立つので意識しやすいのですが、残すと決めた科目の中の穴は見落とされます。捨て科目を決めたら、残した科目のほうにこそ時間を厚く配分してください。

      4〜6科目

      よく見る「捨て科目の目安」

      4科目

      国家一般職1本なら実害ほぼゼロで捨てられる科目数

      1科目

      特別区と国税を主軸にすると、実質捨てられるのは会計学だけ

      何科目捨てるべきか。併願の形を決めずに答えは出せません。

      捨て科目を決めたあとにやること

      志望先を確定させ、シミュレーターで必要科目と捨てられる科目を出したら、次にやることは3つです。

      STEP
      併願先を確定させる

      途中で1つ増やすと、捨てたはずの科目が必須科目に戻ることがあります

      STEP
      シミュレーターで捨てられる科目を出す

      出題数の多さではなく、チェックした志望先のどこにも出ないかどうかで判断します

      STEP
      残した科目の中で手薄な単元を洗い出す

      民法②や財政学の経済事情部分など、隣接科目の陰に隠れやすい単元を意識して見ます

      STEP
      経済系を切るなら特別区と国税の余裕ゼロを覚悟する

      この2つは代わりの科目が残らない構造なので、切るなら他試験を主軸に据える判断とセットにします

      科目の優先順位や着手する順番そのものは専門科目11科目の記事で扱ったとおり、憲法と行政法とミクロ経済学から入るのが合理的です。捨て科目を決める作業は、その順番を壊すためのものではなく、限られた時間のうち、どこまでを「合格ラインに届かせる科目」に含めるかを絞り込む作業です。併願の全体像は公務員試験の併願の記事も合わせて確認してください。

      最後にもう一度書いておきます。捨て科目は、出題数や配点の大小で決めるものではありません。併願先を確定させ、そのリストのどこにも出ない科目を機械的に洗い出す。それだけの作業です。逆に言えば、併願先を1つでも確定できていない段階で捨て科目を決めるのは、まだ早いということでもあります。

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      科目構成は2026年度(令和8年度)実施分です。2027年度は改めて公表されます。出願前には必ず各実施機関の受験案内で確認してください。

      掲載内容は人事院および各人事委員会の公表資料に基づきます。学習方法については個人の受験経験に基づくもので、合格を保証するものではありません。

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      この記事を書いた人

      イザークのアバター イザーク

      元公務員の公認会計士試験合格者。大学在学中に公務員試験に独学で合格し(財務専門官・特別区・国家一般職)、財務局で1年3か月働きました。その後、予備校を使って公認会計士試験に合格(令和4年)。監査法人、税理士法人を経て、現在はIT企業の代表としてシステム導入などを手がけています。記事の数値と日程は、人事院や各自治体の受験案内、公認会計士・監査審査会の公表資料など一次資料から取っています。 詳しい経歴は運営者情報にあります。

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      イザーク
      公務員試験・公認会計士試験 合格
      公務員試験(独学)と公認会計士試験(予備校)、両方に受かった人間が書いています。財務省、監査法人、税理士法人を経て、現在はIT企業の代表。
      数値と日程は受験案内などの一次資料から取り、合格体験記ではなく判断を変えた記録を残しています。
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