自然科学は捨て科目の代表のように言われます。ところが特別区の受験案内を開くと、知識分野で最も題数が多いのは自然科学です。人文科学4題、社会科学4題に対して、自然科学は8題あります。
しかも選択制です。20題から12題を選ぶ形なので、理系の人はその8題をまるごと拾えます。捨て科目どころか、使える人には主役になる枠です。特別区に受かった元公務員として、受験案内の数字を整理します。
この記事でわかること
- 特別区では自然科学が知識分野で最大の8題であること
- 国家系では科目として消え、残っている試験が限られること
- 生物・地学と、数学・物理・化学で扱いを変える理由
- 生物・地学は過去問集2周で2問取れるという体験記の共通点
- 文系が全部捨てる場合に、どこで返すか
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公務員試験の自然科学は、特別区では最大の枠になる
特別区の知識分野は20題から12題を選ぶ形で、その内訳は人文科学4、社会科学4、自然科学8、社会事情4です。自然科学だけが倍あります。
この構造は、理系出身の受験生にとって大きな意味を持ちます。選ぶ12題のうち8題を自然科学で埋められるからです。残り4題を社会事情か社会科学で拾えば、人文科学には一切手を付けずに知識分野が終わります。
特別区の知識分野20題の内訳
この20題から12題を選択する。自然科学を全部取れる人は、その時点で3分の2が埋まる。
逆に、文系で自然科学を全部捨てると、残り12題から12題を選ぶことになります。選択制なのに選択肢が無い状態になる。特別区を本命にする人は、ここを先に計算しておく価値があります(都庁と特別区はどっちを受けるか)。
公務員試験の自然科学が残っている試験、消えた試験
国家系の基礎能力試験からは、自然科学という枠が消えました。人文科学と同じ扱いです。
2024年度の改正で基礎能力試験は40題から30題になり、知識分野は6題に縮小されました。名前も「自然・人文・社会に関する時事、情報」に変わっています。物理や化学を科目として積み上げる形は、国家系については前提が崩れました。
| 試験 | 自然科学の扱い |
|---|---|
| 国家一般職・国税・財務 | 科目として無し。知識分野6題が「自然・人文・社会に関する時事、情報」 |
| 国家総合職(教養区分) | Ⅱ部の知識分野20題に残っている |
| 特別区Ⅰ類(春・事務) | 知識20題中12題選択のうち自然科学8題。知識分野で最大 |
| 東京都Ⅰ類B(一般方式・行政) | 知識16題必須に自然科学系(物理・化学・生物・地学)が含まれる |
| 地方上級(県庁・政令市) | 型によるが数学・物理・化学・生物・地学から出題 |
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東京都は知識16題が必須解答なので、自然科学から逃げられません。特別区は選択制なので逃げられます。同じ日程で競合することが多い2つですが、知識分野の設計は正反対です。
公務員試験の自然科学は、5科目をまとめて扱わない
自然科学を1つの科目として考えると判断を誤ります。生物・地学と、数学・物理・化学では性質が違います。
生物と地学は暗記に寄っています。計算がほとんどなく、用語と現象の対応を覚えれば解けます。未習でも成立する数少ない理科科目です。数学・物理・化学は、高校で履修していないと式の意味から入ることになり、時間の使い方がまったく変わります。
生物・地学
暗記中心。過去問集を2周するだけで2問取れる、という報告が体験記で一致していました。文系でも拾える枠です
分かれ目は、高校で履修したかどうか
数学・物理・化学
履修者なら簡単に得点できます。未習から立ち上げるには重すぎて、1問あたりの単価が合いません
地方上級の一次試験を突破した受験生が、この切り分けをそのまま実行していました。生物・地学は過去問集を2回読むだけ、数学・物理・化学は捨て科目。本人は「もし高校時代にしっかり履修しているなら、物理・化学の過去問集を2周していたと思う」と書いています。解ける問題が複数あることは認めたうえで、自分の条件では取らないという判断です。
別の受験生は、生物だけを2時間で丸暗記したと書いています。赤シート式の薄い暗記本を使って、それで過去問がけっこう解けたそうです。生物・地学の単価の安さは、複数の体験記で共通していました。
難しい側の評価も一致しています。国家総合職に合格した受験生は「自然科学系の択一はなかなか難しい。一番有効な対策は高校の教科書を読むことだが、範囲が広くて厳しい」と書いています。教科書に戻るのが正解だと分かっていて、それでも割に合わない。この科目の難しさは、解法ではなく分量にあります。
公務員試験の自然科学を、全部捨てるとどうなるか
捨てられます。ただし返す場所を決めてからにしてください。
私自身、自然科学を対策していません。教養で時間を割いたのは数的処理と時事だけで、残りは専門11科目に回しました。国家総合職以外は専門択一の平均点が高くないので、専門で稼げば教養が振るわなくても合格ラインに届く、という計算です。2026年度の財務専門官は専門択一40点満点で平均23.793点でした。
都庁に合格した受験生は、もっと徹底しています。人文科学4題・自然科学4題・社会科学3題の計11題を、全部②にマークすると決めて試験に臨みました。5択なので2問前後は当たる計算と、その時間を数的処理16題に回せることが理由です。知識が必須解答の都庁でこれをやっています。
どちらにも共通しているのは、捨てた時間の行き先がはっきりしていることです。専門科目か、数的処理か。「範囲が広いから捨てる」で止まっている人は、ただ点が減ります。
- 専門試験がある試験で組むなら、自然科学を捨てて専門に回す形が成立します。配点比率が違いすぎます
- 教養のみの試験で組むなら、生物・地学だけは拾っておくほうが安全です。返す場所が数的処理しかなくなります
- 特別区が本命なら、8題という枠の大きさを考えてから決めます。全捨ては選択制の利点を自分で消す行為です
公務員試験の自然科学に使う参考書と、2周で止める回し方
現行版は5科目が1冊です。生物・地学だけなら、過去問集を2周して止めるのが体験記の共通解でした。
| 役割 | 本 | 税込・発売日 |
|---|---|---|
| 過去問集 | 新スーパー過去問ゼミ8 自然科学(実務教育出版) | 2,090円・2026/9/2 |
| 知識分野をまとめて | 寺本康之の超約ゼミ ここだけ!時事&知識分野 | ー |
| 買わなくていい | 過去問ダイレクトナビ/センター試験向けの入門書 | ー |
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物理・化学・生物・地学が1冊で2,090円です。科目ごとに買う時代ではなくなりました。
回し方で体験記が一致していたのは、生物・地学の扱いです。過去問集を2周して、分からない問題は早めに答えを見る。悩む時間を作らない、という形でした。それで2問取れるという報告です。別の受験生は赤シート式の薄い暗記本で生物だけを2時間で詰めて、過去問が解けたと書いています。
数学・物理・化学は、履修者が過去問集を2周する形になります。未習から立ち上げる価値はほぼありません。私は自然科学そのものを対策していないので、ここは体験記の整理です。ダイレクトナビとセンター系の入門書は新版が出ていないので、いま買う必要はありません。
手をつける順番
特別区は選択、東京都は必須です。ここで取れる戦略が変わります
履修済みなら過去問集だけで戻ります。未習の数学・物理・化学を新しく立ち上げる価値はほぼありません
暗記中心なので未習でも成立します。過去問集を2周して、分からなければすぐ答えを見ます
問題集のレジュメページは用語の一覧なので、初見の科目を理解するようには作られていません
専門科目か数的処理か。決めずに捨てると、浮いた時間はどこにも行きません
自然科学は、捨て科目の代名詞でありながら、試験によっては知識分野の過半を占めるという振れ幅の大きい科目です。一般論ではなく、自分の併願先の題数で決めてください。
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出題数と科目構成は2026年度(令和8年度)の受験案内に基づきます。年度ごとに変わるため、受験する年の案内で確認してください。
この科目は私が対策していません。受験案内から数えられることと、公開されている合格体験記を読んだ範囲で書いています。
