公務員試験の専門11科目は、憲法、行政法、民法、ミクロ、マクロ、財政学、政治学、行政学、社会学、経営学。全部そのまま大学の講義科目の名前です。履修登録でこちらに寄せておくと、講義に出る時間がそのまま試験勉強になります。
私は文学部で、大学3年の11月に勉強を始めて、春の試験で財務専門官、特別区、国家一般職に合格しました。専門は11科目全部です。半年でそれが回ったのは地頭でも勉強量でもなく、憲法と経済学と経営学を在学中に講義で取っていたからです。財務局で1年3か月働いた元公務員として、その使い方を書きます。
受験勉強を始めると、大学の単位は邪魔者になります。講義に出ている時間が、そのまま試験勉強から引かれていく。その引き算を足し算に変えるのが、この記事の中身です。
この記事でわかること
- 公務員試験の専門11科目は、そのまま大学の講義科目の名前でもあること
- 講義を試験科目に寄せると、単位取得と試験対策で同じ時間を二重に使えること
- どの科目から寄せると効率がいいか(憲法・経済学が先、行政法・民法が本命)
- 4年に残す単位を試験科目にしておくと、直前期の衝突が消えること
- 講義で手に入るのは下地までで、問題集は別に回す必要があること
- 動くなら1年生から2年生のうち、という時期の話
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公務員試験の専門科目は、大学の講義とほぼ同じ名前をしている
公務員試験の専門科目を見て、まず気づくのは科目名です。
憲法、行政法、民法、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学、政治学、行政学、社会学、経営学。専門科目は11科目に収束するで数えた11科目は、そのまま大学のシラバスに並んでいる名前でもあります。
これは偶然ではありません。国家一般職、特別区、東京都の専門試験は、大学で学ぶ社会科学の科目から出題する建て付けになっています。だから試験科目と講義科目は、最初から同じものを指しています。
ここに効率の余地があります。大学を卒業するには、どの学部でも100単位を超える授業に出ることになります。その時間はどうせ使うので、使う先を試験科目に寄せれば、同じ時間で単位と試験対策の両方が進みます。
| 科目 | 開講している学部 | 他学部から取りやすいか |
|---|---|---|
| 憲法 | 法学部。教養科目・共通科目として開講されることも多い | 取りやすい |
| 行政法 | 法学部 | 他学部履修が要ることが多い |
| 民法①② | 法学部 | 他学部履修が要ることが多い |
| ミクロ経済学 | 経済学部・商学部。教養枠にもある | 取りやすい |
| マクロ経済学 | 経済学部・商学部 | 取りやすい |
| 財政学 | 経済学部 | 学部による |
| 政治学 | 法学部・政治経済学部。教養枠にもある | 取りやすい |
| 行政学 | 法学部・政治学系 | 学部による |
| 社会学 | 社会学部・文学部。教養枠にもある | 取りやすい |
| 経営学 | 経営学部・商学部。教養枠にもある | 取りやすい |
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この「取りやすいか」は一般的な傾向で、開講の形も科目名も大学ごとに違います。「経済原論」「公共経済学」「地方自治論」のように名前がずれていることもあるので、最後は自分の大学のシラバスで引いてください。
講義を試験科目に寄せると、同じ時間を二重に使える
効率が上がる理由は2つあります。下地ができることと、受験期に単位と試験勉強がぶつからなくなることです。後者のほうが効きます。
まず下地のほう。専門11科目を受験期にゼロから積むと、科目ごとに最初の壁が来ます。問題集を開いて、用語の意味が分からず解説も読めない段階です。講義を受けていると、ここを飛ばして1周目から問題を解く作業に入れます。私は11科目をスー過去で回しましたが、憲法と経済学と経営学だけは1周目の立ち上がりが明らかに速かった。講義で手に入るのは、問題集を開いたときに用語と全体像が頭に入っている状態です。それだけでも、半年しかない期間では差になります。
そしてもう一つ、これが本題です。3年の後半から4年にかけて、公務員試験の勉強と大学の単位取得は真正面からぶつかります。卒業に必要な単位が残っていると、講義に出る時間が丸ごと試験勉強から引かれる。しかも講義の内容が試験と無関係なら、受験の側から見るとその時間は完全な損失です。
取る講義を試験科目に寄せておくと、ここが変わります。講義に出る時間が、そのまま専門科目の勉強時間になる。単位も取れて、試験対策も進む。出席する動機のほうも消えません。
寄せていない場合
- 4年に残った単位が試験と無関係
- 講義に出る時間は受験から見て損失
- 出席の動機が「卒業のため」だけになる
- 直前期に単位と試験勉強が取り合いになる
同じ時間の使い道が変わる
寄せた場合
- 4年に残る単位が専門科目と重なる
- 講義の時間がそのまま試験勉強になる
- 単位と試験対策の両方が同時に進む
- 直前期の取り合いが起きない
私が3年の11月から始めて半年で11科目を回せたのは、この衝突が小さかったからでもあります。逆に、受験科目とまったく関係のない単位を4年に大量に残すと、直前期に一番きつい形で効いてきます。
どの科目から寄せると効率がいいか
11科目を全部講義で取る必要はありません。効率の観点で優先順位がつきます。
結論を先に書くと、取りやすさで憲法と経済学から入り、効果の大きさでは行政法と民法を狙うのがいい。この2つは別の基準なので、両方を見て決めます。
先に取るのは憲法とミクロ・マクロ
教養科目や共通科目の枠に入っていることが多く、他学部履修の手続きなしで取れます。手続きのコストがゼロなので、まずここから埋まります。
内容の面でも先に来ます。憲法は法律科目の入口で、行政法と民法を読むときの前提になります。経済学は、ミクロとマクロの前に経済学の考え方そのものを一段挟む必要があるタイプの科目です。私はこの一段を自分で挟みましたが、大学で経済原論にあたる講義を取っていれば講義側で済みます。
ここを飛ばしていきなりミクロの問題集を解き始めると、たいてい同じところで止まります。無差別曲線や弾力性を公式として覚えに行くことになるので、少し形を変えられると対応できません。順番を守るだけで変わる部分です。
効果が大きいのは行政法と民法
11科目のなかで仕上がりに時間がかかるのが、行政法と民法①②です。範囲が広く、条文と判例の両方が要る。ここに下地があるかどうかで、受験期の負荷がいちばん変わります。
一方でこの2つは法学部の専門科目に寄っているので、他学部からだと履修の手続きが必要になることが多い。手続きのコストを払う価値があるのはこちらです。教養枠で取れる科目から順に埋めていくと、いちばん効く科目が最後に残ります。
行政系4科目は後回しでいい
政治学、行政学、社会学、経営学。この4つは暗記の比重が高く、受験期に短期間で詰めても仕上がります。講義で取れるなら取る価値はありますが、他学部履修の枠を使ってまで取りにいく科目ではありません。
私は経営学を講義で取っていましたが、これは文学部の教養枠にあったからで、優先して選んだわけではありません。枠に入っていたから取った、という順番です。
| 優先 | 科目 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 憲法、ミクロ、マクロ | 教養枠にあることが多く手続きが要らない。法律と経済それぞれの土台になる |
| 2 | 行政法、民法①② | 仕上がりに時間がかかる。下地の有無がいちばん効く。他学部履修の枠を使う価値がある |
| 3 | 財政学 | 経済学の後に来る。ミクロ・マクロが入っていれば受験期からでも足りる |
| 4 | 政治学、行政学、社会学、経営学 | 暗記中心で受験期に詰められる。枠に入っていれば取る、程度でいい |
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教養の知識科目に寄せる価値は薄い
専門以外も講義で寄せられるのではないか、という発想は出てきます。自然科学や人文科学は大学の講義にもあるので、形としては可能です。ただ、ここは費用対効果が合いません。
理由は出題数です。2024年の改正で基礎能力試験は40題から30題に減り、知識分野は6題まで縮みました(知識科目は捨てていいのかで題数を整理しています)。30題のうち24題は知能分野、つまり数的処理と文章理解です。
30題
改正後の基礎能力試験の出題数
6題
そのうち知識分野の出題数
24題
知能分野(数的処理・文章理解)の出題数
6題のために講義を1年取るのは、履修の枠の使い方として明らかに損です。しかも知識分野は科目ごとに1〜2題なので、取った講義の科目が出るかどうかも読めません。
私は自然科学と人文科学をクイックマスターで処理しました。導入にセンター試験向けの参考書を1冊挟んだ程度で、講義は使っていません。知識科目は参考書で足りる範囲で、履修の枠は専門11科目に全部回したほうがいい。
数的処理も同じです。講義で代替できるものではなく、問題を解いた量で決まります。私は玉手箱を使いました。履修の枠を使う意味があるのは、専門科目だけだと考えていいです。
文学部から11科目そろえた
私は文学部でした。法学部でも経済学部でもありません。
それでも憲法や経営学、経済学の授業を取れたのは、2つの枠があったからです。ひとつは教養科目の枠。多くの大学では、卒業要件のなかに専門外の分野を取る枠があります。ここに憲法や政治学、社会学、経営学が入っていることが少なくありません。
もうひとつは他学部履修です。所属学部以外の授業を、一定の単位数まで卒業要件に算入できる制度がある大学は多い。行政法や民法のように法学部の専門科目に寄っている科目は、こちらを使うことになります。
どちらも、履修登録の時点で「公務員試験で使う科目かどうか」を基準に選ぶだけです。それだけで受験勉強の前倒しになります。学部で不利だと思っている人ほど、この2つの枠を調べていません。
他学部履修は、算入できる単位数に上限があったり、抽選になったり、一部の学部間でしか認められていなかったりします。制度の有無と条件は大学ごとに違うので、履修要項を先に読んでください。ここだけは自分の大学を見る以外にありません。
講義に期待しすぎない
ここは正直に書きます。大学の講義を取れば試験対策が終わる、という話ではありません。
方向がそもそも違います。大学の講義は狭い範囲を深く掘ります。学説の対立を追ったり、判例を一つずつ読んだりする。公務員試験は逆で、広い範囲を浅く、しかも五肢択一で切れる形で問います。
大学の講義
- 狭い範囲を深く掘る
- 学説の対立や判例を一つずつ読む
同じ科目名でも向きが違う
公務員試験
- 広い範囲を浅く問う
- 五肢択一で切れる形で出る
民法の講義を1年受けても、スー過去の民法①が解けるようにはなりません。私も、講義を取ったから民法が仕上がったわけではありません。受験期にスー過去を回したのは他の科目と同じです。
ただ、最初の1周で「何を言っているか分からない」という段階を飛ばせました。講義は問題集を置き換えるものではなく、問題集に入る速度を上げるものです。そう見積もっておけば期待を外しません。
いつ動くか
時間割を組めるのは履修登録の時期だけです。そして公務員試験を意識するのがたいてい3年生なのに対して、教養枠と他学部履修の余地が大きいのは1年生と2年生です。
3年になってから公務員試験を受けようと決めると、もう卒業要件の枠は埋まりかけています。この記事がいちばん役に立つのは、まだ進路を決めていない1年生と2年生です。
1年生・2年生
- 教養枠と他学部履修の余地が大きい
- 時間割をまだ自由に組める
同じ投資でも効果が違う
3年生以降
- 公務員試験を意識し始める時期
- 卒業要件の枠はもう埋まりかけている
公務員試験を受けるかどうか決まっていなくても、損はしません。憲法も経済学も経営学も、受けないことにしたところで教養として残ります。進路が決まっていない時期にこそ、取り返しのつく先行投資として効きます。
手をつける順番
憲法、行政法、民法、ミクロ、マクロ、財政学、政治学、行政学、社会学、経営学。名前がずれている科目もあるので、経済原論や地方自治論も見ます
卒業要件に算入できる単位数の上限と、抽選の有無。ここで寄せられる科目数の天井が決まります
手続きが要らないぶん確実に取れます。法律と経済それぞれの土台なので、後続の科目が軽くなります
仕上がりに時間がかかる側です。手続きのコストを払う価値があるのはここ
直前期に、試験と関係のない講義へ通う時間がいちばん効きます。残すなら試験科目のほうを残します
公務員試験の勉強は、始めた日からの積み上げだと思われがちです。実際には、その手前の履修登録で決まっている部分があります。
文学部から11科目をそろえられたのは、地頭でも勉強量でもなく、時間割の組み方でした。期間から逆算した配分の決め方は公務員試験のスケジュールは逆算で組むにまとめています。
専門科目の中身と選び方は 専門科目は11科目に収束する 併願先の重なりから決める、期間から逆算した配分は 公務員試験のスケジュールは逆算で組む、制度全体の形は 公務員試験の全体像 2024年改正後の現在地 にまとめています。
教養枠・他学部履修の制度と開講科目は大学ごとに違います。履修登録の前に、必ず自分の大学の履修要項とシラバスで確認してください。
学習方法については個人の受験経験に基づくもので、合格を保証するものではありません。
