国家一般職と特別区だけを受けるなら、公務員試験の会計学は出題されないので捨てて構いません。国税専門官を受けるなら話が変わります。やると決めたら簿記のテキストは買わず、スー過去1冊を理論から入れば短期で立ち上がります(会計学に使う参考書)。
私は受験当時、簿記を持っていませんでした。だから会計学は捨てています。国税専門官も受けていません。受けたのは財務専門官で、そこから財務局に入った元公務員です。
その私がいま公認会計士試験に合格して、税務の仕事をしています。捨てた科目が職業になりました。順番としては、公務員試験に受かったあと、入庁までに簿記3級を取るよう言われて、面白くなって2級まで取ったのが始まりです。
そのうえで、受験生としての話を書きます。会計学は「捨てる」と決めても完全には捨てられない科目です。必須問題に入っているからです。
この記事でわかること
- 国税専門官では会計学が必須問題に入っていて、完全には捨てられないこと
- 会計学が置かれているのは国税だけではないこと
- 捨てた人が本番でどうなったか、体験記の実際の点数
- 2週間から3週間で立ち上げた人も居ること
- 簿記2級まで要るのか、という問いへの答え
この記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれています。紹介しているのは私が実際に使った本か、受験案内と出版社の情報で現行版を確認した本だけです。リンクの有無で順番を変えてはいません。
公務員試験の会計学は、国税では必須問題に入っている
国税専門官の専門択一で、会計学は必須問題です。選ばないという操作ができません。
2026年度の受験案内で構成を確認すると、こうなっています。58題出題・40題解答で、内訳は次のとおりです。
- 必須問題4題 民法・商法2題、会計学(簿記を含む)2題
- 選択必須問題 民法・商法6、会計学6、憲法・行政法6、経済学6、英語6の5科目30題から4科目24題
- 選択問題 上で選ばなかった1科目6題+財政学6、経営学6、政治学・社会学・社会事情6、商業英語6の計30題から12題
つまり完全に捨てても必ず2題は会計学を解くことになり、選択必須でも会計学を避けると選べる科目が1つ減ります。「会計学は捨てる」という言い方は、正確には「選択必須で避けて、必須2題は捨てる」という意味になります。
会計学が出るのは国税だけではありません。財務専門官の選択8科目にも会計学6題があり、専門記述の5科目にも入っています。東京都Ⅰ類Bの記述10科目にも会計学があります。
| 試験 | 会計学の扱い |
|---|---|
| 国税専門官(法文系) | 必須2題+選択必須6題。記述5科目にも入る |
| 財務専門官 | 選択8科目から2科目という枠のひとつで6題。記述5科目にも入る |
| 東京都Ⅰ類B(記述) | 記述10科目のひとつ |
| 国家一般職(行政) | なし。16科目に会計学は入っていない |
| 特別区Ⅰ類(春・事務) | なし。専門11分野に入っていない |
横にスクロールできます
この表の読み方は単純です。国家一般職と特別区で組むなら、会計学に入る理由がありません。専門職を併願に入れた瞬間に検討対象になります(専門科目は11科目に収束する)。
公務員試験の会計学を捨てた人は、本番でどうなったか
捨てても一次試験は通ります。ただし、専門択一の点数は足切り付近まで落ちます。
noteで集めた合格体験記のなかに、会計学を捨てて国税専門官を受けた人の点数がそのまま載っていました。
都庁対策を優先した受験生。勉強した専門は憲法・行政法・民法・政治学のみ。会計学と商法は「予備校のパックに入っていない科目だったので、追加料金を払うほどでもないと思っているうちに試験が迫った」。結果は基礎能力26/30、専門択一12/40。多肢選択式の基準点は満点の3割なので、12点は本当にぎりぎりです。それでも基礎能力で稼いで最終合格しています。
国税3週間前に開いた受験生。問題集を開いてもよく分からず、会計学は捨てることにして、代わりに経営学と社会学を新たに始めた。結果は教養18、専門22で最終合格。席次は上位15%でした。
民間就活と併願した受験生。「会計学は私は全くやっていません。国税が第一志望の人はやったほうが良いと思います」。県庁と国税専門官に最終合格。
3人とも合格しています。だから「捨てたら落ちる」は言いすぎです。国税専門官は一次で広く通す試験で、面接の配点も大きい。筆記が足切り付近でも最終合格する余地があります。
ただし共通しているのは、3人とも国税が第一志望ではなかったことです。本命が別にあって、併願先として受けている。第一志望なら同じ判断は薦められない、と本人たちが書いています。
公務員試験の会計学は、短期で立ち上がるか
立ち上がります。試験の2週間前から講座を1つ買って、記述まで会計学で勝負した受験生が居ました。
その人は国税専門官の2週間前まで会計学を捨てていました。方針を変えた理由は、配点を数え直したからです。必須2題と選択必須6題で合計8題。40題を解答する試験で8題を捨てるのは、数的処理と経済学も捨てている自分には無理だと気づいた、という流れでした。
この人の総括がはっきりしています。「過去問を見る限り、会計学は基礎的な理論ばっかりなので対策しやすい」。記述も会計学しか対策せず、それで内々定まで取っています。別の受験生も「全体像を把握した上で、重要用語や簿記の規則を暗記」という2周で国税に最終合格していました。
この短期で立ち上がる性質は、裏返すと先に手を付ける理由が薄いということでもあります。主要5科目を仕上げる前に会計学へ行く必要はありません。順番としては最後でいい科目です。
ここで、よく見る言い方を1つ否定しておきます。「国税を受けるなら簿記2級まで取っておくべき」は、受験対策としては過剰です。私が簿記2級を取ったのは合格後の大学4年の秋で、受験には一切使っていません。採用後に簿記3級の取得を求められる話と、試験の会計学8題を取る話は、必要な分量がまるで違います。
公務員試験の会計学を、採用後の視点から見る
受験のあとに会計がついてくる職種があります。そこまで含めて判断していい科目です。
国税専門官は採用後の研修で簿記の取得を求められます。財務局でも、入庁までに簿記3級を取るよう言われました。私はそれが面白くなって2級まで取り、採用後の2か月は全国の同期と合同の合宿研修で会計・法律・国有財産を学んでいます。
つまり、受験で会計学を避けても、入ってから会計は来ます。避けられるのは試験の8題だけです。財務局の仕事でも、各金融機関の財務諸表を集計してリスクを分析する場面がありました(財務専門官の仕事内容)。
私自身は、この順番で会計に入りました。試験では捨てて、入庁準備で3級、面白くなって2級、財務局を1年3か月で辞めたあと公認会計士試験へ。受験生のときに会計学を選ばなかったことを、いまも失敗だとは思っていません。当時の自分にとっては、暗記で6題が立つ経営学や政治学・社会学のほうが確実でした。
ただ、資格として役に立つかと聞かれたら、簿記は間違いなくあったほうがいいと答えます。受験当時に資格取得を検討したことはなく、面接で資格を聞かれたことも一度もありませんでしたが、入ってからの効き方は別です(公務員の職種一覧)。
公務員試験の会計学に使う参考書と、短期で詰める順番
過去問集1冊です。簿記のテキストまで広げると、8題に対して分量が合いません。
| 役割 | 本 | 税込・発売日 |
|---|---|---|
| 過去問集 | 新スーパー過去問ゼミ8 会計学(実務教育出版) | 2,420円・2026/9/25 |
| 導入本 | 原則不要。理論から入れば過去問集で足りる | ー |
| 簿記のテキスト | 受験対策としては不要 | ー |
横にスクロールできます
第8版は2026年9月25日発売で、政治学・社会学・国際関係・経営学と同じ日です。
短期で詰めるなら、順番は理論からです。出題の中心が基礎的な理論なので、計算の精度を上げるより先に用語と規則を入れます。試験2週間前に着手して記述まで会計学で勝負した受験生も、「過去問を見る限り基礎的な理論ばっかりなので対策しやすい」と書いています。
簿記のテキストは要りません。私が簿記2級を取ったのは合格後の大学4年の秋で、受験には一切使っていません。採用後に簿記を求められる話と、試験の8題を取る話は必要な分量が別です。回し方は他の学系と同じで、1周目は頻出論点だけ、解いたらすぐ解説、周回は数周です。
手をつける順番
国家一般職と特別区だけなら会計学は出ません。ここで終わる人が多数です
第一志望なら必須2題+選択必須6題を取りにいきます。滑り止めなら必須2題だけ捨てる形も成立します
短期で立ち上がる科目なので、先に手を付ける理由がありません。順番は最後で構いません
出題の中心は基礎的な理論です。簿記2級の範囲まで広げると、8題に対して分量が合いません
国税・財務・都庁は記述にも会計学があります。択一の理論がそのまま答案の材料になります
会計学は、併願先を決めた時点で要否がほぼ決まる科目です。そして要ると決まったなら、思っているより短い時間で立ち上がります。
関連記事は 公務員の経営学、専門科目は11科目に収束する 併願で決まる、財務専門官の仕事内容 金融監督の現場で1年3か月、公務員試験の論文 教養論文と専門記述の書き方 にまとめています。
出題数と科目構成は2026年度(令和8年度)の受験案内に基づきます。年度ごとに変わるため、受験する年の案内で確認してください。
学習方法は個人の受験経験に基づくもので、合格を保証するものではありません。
