公務員試験の行政学は、スー過去1冊で足ります。導入本は要りません。ただ、国税専門官と財務専門官の選択科目には行政学の枠が無いので、先に併願先の受験案内を確かめてください。使うなら政治学の後ろに置くと半分の重さで済みます(行政学に使う参考書)。
行政学は、用意したのに使わなかった科目でした。私は専門11科目をそろえたので行政学も回していますが、財務専門官の選択科目に行政学は無く、置き場所がありませんでした。財務専門官の枠で財務局に入った元公務員として、その経緯を書きます。
これは私の計画ミスというより、この科目の置かれ方の問題です。行政系4科目は同じ棚に並んでいるように見えて、使える試験の数が揃っていません。
この記事でわかること
- 行政学が置かれている試験と、置かれていない試験の線引き
- 専門職試験(国税・財務)の選択科目に行政学が無いこと
- 行政学の中身が「組織の理論」と「日本の行政制度」の二層でできていること
- 合格体験記でこの科目が「結局使わなかった」と書かれやすい理由
- 政治学とセットで回すと差分だけで済む範囲
この記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれています。紹介しているのは私が実際に使った本か、受験案内と出版社の情報で現行版を確認した本だけです。リンクの有無で順番を変えてはいません。
公務員試験の行政学は、使える試験が思ったより少ない
行政学が単独の科目として置かれているのは、国家一般職と、地方公務員の試験です。国税専門官と財務専門官の選択科目には入っていません。
行政系4科目はひとまとめに語られがちですが、受験案内を並べると扱いが揃っていません。政治学と社会学は専門職試験でも「政治学・社会学」という合併科目の形で残っているのに、行政学はそこに入っていないのです。
| 試験 | 政治学 | 行政学 | 社会学 | 経営学 |
|---|---|---|---|---|
| 国家一般職(行政) | ○ 5題 | ○ 5題 | ○ 5題 | ○ 5題 |
| 特別区Ⅰ類(春・事務) | ○ 5題 | ○ 5題 | ○ 5題 | ○ 5題 |
| 東京都Ⅰ類B(記述) | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 財務専門官 | ○ 政治学・社会学で6題 | なし | ○ 同左 | ○ 6題 |
| 国税専門官(法文系) | ○ 政治学・社会学・社会事情で6題 | なし | ○ 同左 | ○ 6題 |
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私が受けた2つで言うと、国家一般職では使えて、財務専門官では使えません。財務専門官の専門択一は必須2科目28題のほかに、選択8科目48題から2科目12題しか選べない形です。その8科目は民法・商法、統計学、政治学・社会学、会計学、経営学、英語、情報数学、情報工学で、行政学はここにありません。
だから私は行政学を回したうえで、本番の答案では使っていません。無駄だったとは思っていませんが、先にこの表を作っていれば周回の配分は変えたはずです。
公務員試験の行政学は「結局使わなかった」と書かれやすい
この科目は、合格体験記でも使われずに終わっているケースが目立ちます。
noteで科目ごとに検索し、いいねの多い順に集めた合格体験記54本を読みました。そのうち行政学に触れているものを見ると、書かれ方が偏っています。
国家一般職で憲法5問・行政法5問を満点に乗せた受験生が、「行政学は組織論を中心に勉強しました。結局使いませんでしたが」と書いています。当日に問題冊子を開いて、別の科目へ振り替えたということです。
別の受験生は、後悔の項目に「途中まで進めていた行政学が結果的に不要と判明し、時間を浪費した」と書いています。国家一般職・国税専門官・裁判所事務官・地方上級・市役所にすべて最終合格した人です。
この2つは、どちらも準備不足の話ではありません。科目選択制の試験で保険の科目を用意すると、保険は使わないほうが普通だという話です。当日に8科目を選ぶなら、用意した11科目のうち3科目は必ず余ります。
私もそうでした。11科目を全部やったのは、教養の費用対効果が悪いと判断して教養を数的処理と時事くらいに絞り、専門へ全振りしたからです。独学者の定石は「科目を絞る」ですが、私が絞ったのは科目ではなく教養のほうでした。この組み方だと余りが出るのは前提です(知識科目をどこまでやるか)。
そのうえで言うと、行政学は余りになる確率がいちばん高い科目です。専門職を併願に入れている人ほどそうなります。
公務員試験の行政学は、二層に分けると速い
行政学の中身は、組織をめぐる理論と、日本の行政制度という二層でできています。混ぜて覚えると量が倍に見えます。
理論の層は、官僚制、ライン・スタッフ、意思決定論、政策過程論です。ここは政治学と社会学に重なります。官僚制は社会学・行政学・政治学の3科目にまたがり、組織理論は経営学と重なっています。先に政治学をやっているなら、この層はほぼ復習です。
制度の層は、日本の行政機構、公務員制度、地方自治、行政改革、NPMといった話です。こちらは重なりがなく、行政学だけで覚える部分になります。稟議書のような日本固有の制度用語はここに来ます。
行政学の中身を二層に割る
政治学のあとに行政学へ行くと、左半分が復習になる。順番を逆にするとこの利得が出ない。
この構造が分かると、着手の順番が決まります。政治学を先に通し、行政学では制度の層に時間を寄せる。逆から入ると、理論の層を2回まるごと学ぶことになります。重なりの全体像は政治学の記事に図で置きました。
よく見るのは「行政学は暗記だから後回しでいい」という順番の決め方です。後回しにする点は同意しますが、理由が違うと思っています。後回しにすべきなのは暗記だからではなく、使える試験が少ないからです。暗記科目という理由だけなら、政治学も社会学も経営学も同じ扱いになってしまいます。
公務員試験の行政学に、どれだけ時間を配るか
志望先に国家一般職か地方上級が入っているなら用意します。専門職だけで組むなら要りません。
判断の材料は2つです。ひとつは上の表で、自分の併願先に行政学の行があるかどうか。もうひとつは、政治学を先にやったかどうかです。
用意する
国家一般職・特別区・地方上級・都庁記述のいずれかが本命。政治学を通したあとなら、制度の層だけなので1週間から2週間で形になります
分かれ目は、併願先に行政学の行があるか
用意しない
国税・財務といった専門職が中心。行政学を入れる枠が受験案内に存在しないので、同じ時間を会計学や経営学に回したほうが点になります
私の配分で言えば、スー過去を多めに回したのは憲法・行政法・民法・ミクロ・マクロの5科目で、行政学はそこに入っていません。数周です。1周目は頻出テーマだけを解いて、分からなければすぐ解説とレジュメに戻る。間違えた問題には付箋を貼って、別のノートは作りませんでした。
この回し方で、国家一般職の答案に出せる水準にはなります。ただし5問中5問は取れません。学系で満点を取った答案を、私は体験記の中にも見つけられませんでした(政治学の記事で数えています)。
公務員試験の行政学に使う参考書と、発売日の落とし穴
過去問集1冊で足りますが、この科目には時期の問題があります。第8版の発売が11月26日です。
| 役割 | 本 | 税込・発売日 |
|---|---|---|
| 過去問集 | 新スーパー過去問ゼミ8 行政学(実務教育出版) | 2,420円・2026/11/26 |
| それまでの代替 | 同 第7版 | ー |
| 導入本 | 不要 | ー |
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行政系4科目のうち、政治学・社会学・経営学は2026年9月25日に第8版が出ています。行政学だけ11月26日で、2か月ほど遅れます。民法Ⅱとマクロ経済学も10月28日なので、秋に始める人は3科目について版の判断を迫られます。
私の答えは、第7版で始めることです。行政学は出題の骨格が動いていないので、版差より着手が遅れることのほうが痛い。待つ価値があるのは財政学のように時事を含む科目だけです(財政学の記事)。
回し方は主要科目と同じです。1周目は頻出・重要論点だけ。全テーマはやりません。解いたらすぐ解説を見て、レジュメページにもすぐ戻る。考え込みません。
違うのは周回数です。多めに回したのは憲法・行政法・民法・ミクロ・マクロの5科目で、この科目は数周で止めています。意図的に主力へ周回を集中させました。間違えた問題はスー過去に付箋を貼るだけで、別のノートは作っていません。
手をつける順番
無ければここで終わりです。専門職だけで組む人は、この科目に入る理由がありません
理論の層が重なっているので、順番を守るだけで行政学が半分の重さになります
用語集を別に買う必要はありません。日本の行政機構と公務員制度が中心で、スー過去のレジュメに載っています
解いたらすぐ解説です。難易度3のテーマは飛ばします
科目選択制なので、問題冊子を開いてから他の科目に振り替えて構いません。保険はそのためにあります
行政学は、使うかどうかを最後まで決めなくていい科目です。保険として安く持ち、当日に判断する。使わずに終わっても、それは失敗ではありません。
関連記事は 公務員試験の政治学、公務員試験の社会学、公務員の経営学、科目の組み方は 専門科目は11科目に収束する 併願で決まる、本の選定は 公務員試験の独学におすすめの参考書 現行版で11科目 にまとめています。
出題数と科目構成は2026年度(令和8年度)の受験案内に基づきます。年度ごとに変わるため、受験する年の案内で確認してください。
学習方法は個人の受験経験に基づくもので、合格を保証するものではありません。
