公務員試験の人物試験の配点は、国税専門官で3/10、国家一般職と財務専門官で2/9です。総合職の教養区分では対話と提案で6割近くを占めます。後回しにしていい重さではありません。
私は独学だったので予備校の模擬面接は使えず、面接対策は大学のキャリアセンターで済ませました。面接を受けて財務局に採用された、元公務員の側から書きます。
正直に書くと、国家一般職の官庁訪問も財務専門官の面接も、民間の就活で受けるものと大きく違う印象はありませんでした。公務員試験だから特別な準備が要る、と身構えずに済んだ。そういう言い方のほうが近いです。
面接対策というと想定問答を何十個も用意する話になりがちですが、先に効くのは質問の数ではありません。受ける場所によって形式そのものが違い、配点も違います。
受験案内に書かれている配点と形式から始めて、面接カード、自己分析、集団討論、プレゼンテーションまでをまとめます。
この記事でわかること
- 人物試験の配点(国税専門官は3/10、総合職教養区分は対話と提案で6割近く)
- 面接の形式が4つに分かれ、プレゼンテーション型が主要な枠に入っていること
- 面接カードに書いていないことは、ほぼ聞かれないこと
- 志望先の政策評価の調べ方と、志望動機への落とし込み方
- 集団討論の進み方と、司会をやることが有利とは限らない理由
配点を見ると優先順位が変わる
面接は最後の関門なので後回しにされます。ただ配点を並べると、後回しにしていい重さではないことが分かります。
面接は人柄を見るものだから対策できない、と言われます。対策できない試験に配点の3割を配る組織はないと思います。
| 試験 | 人物試験の配点 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 国家総合職(春) | 3/15 | 20% |
| 国家一般職(大卒程度) | 2/9 | 約22% |
| 国税専門官 | 3/10 | 30% |
| 財務専門官 | 2/9 | 約22% |
国税専門官は人物試験だけで3割です。基礎能力試験が2/10しかないことと並べると、力の入れどころが見えてきます。筆記で押し切れる試験ではありません。
国家総合職の教養区分はさらに極端です。人物試験4/24に加えて、企画提案試験が6/24、政策課題討議試験が4/24。24分の14、配点の6割近くが対話と提案の試験です。筆記のほうが軽い。
一般職では、人物試験の参考として性格検査も行われます。対策する類のものではありませんが、面接の場で聞かれる材料になり得ると考えておくと落ち着きます。
3/10
国税専門官の人物試験配点
6割弱
総合職教養区分で人物・企画提案・政策課題討議が占める割合
47点
一般職の標準点、評価CとDの開き
評価が1段階下がると標準点がいくら動くかも、人事院が公表しています。2026年度の一般職はA188・B147・C102・D55。CとDのあいだだけ47点開きます。専門択一に直すと約4.7題ぶんです。
私は筆記で稼ぐ受け方をしていましたが、それでも関東甲信越の合格点480には、人物Dだと専門択一6割・教養5割では届きませんでした(その計算)。
面接を上位で戦う必要はありません。ただしDまで落とすと、筆記の貯金が消えます。国税と財務に至っては、人物DまたはEで不合格です。
狙うのはCで十分。数字から言えるのはそこまでです。
人事院「2026年度 総合職試験(春)受験案内」5〜6ページ、「一般職試験(大卒程度)受験案内」5ページ、「国税専門官採用試験受験案内」3ページ。
国税専門官の配点比率
- 基礎能力試験 2
- 専門択一 3
- 専門記述 2
- 人物試験 3
出典 人事院「2026年度 国税専門官採用試験受験案内」3ページ。朱は人物試験で、10分の3を占める。
形式は4つに分かれた
ひとくちに面接と言っても、いまは4つの形式があります。志望先がどれを課すかで準備の中身が変わります。
| 形式 | 内容 | 課す試験の例 |
|---|---|---|
| 個別面接 | 受験者1人に面接官が複数。面接カードに沿って進む | 国家総合職・一般職・国税専門官、東京都、特別区 |
| 集団面接 | 受験者複数に面接官複数。相対評価がしやすい | 市役所、人気官庁の1次面接 |
| 集団討論 | 4〜8人でテーマを討論し、意見をまとめて発表 | 市役所、政策課題討議試験(総合職教養区分) |
| プレゼンテーション | 資料を作成し、自分で説明する | 東京都Ⅰ類B新方式、特別区早期SPI枠、企画提案試験(教養区分) |
注目すべきは4つ目です。プレゼンテーション型は、2026年度の時点で東京都と特別区の主要な枠に入っています。
東京都Ⅰ類Bの新方式は、プレゼンテーションを含む個別面接とグループワークを含む個別面接を1日で実施。特別区の早期SPI枠は、第2次試験がプレゼンテーションシートの作成から始まります。
適性検査で入る枠を選ぶと筆記の負担は減りますが、そのぶん人物試験が重くなります。楽になるのではなく、配分が変わるだけです。
面接カードが先にある
面接対策は面接から始まりません。多くの試験では面接カードを先に提出し、面接官はそれを読みながら質問します。
カードに書いていないことは、ほぼ聞かれません。質問を予想するより、聞かれたい内容をカードに置いておくほうが確実です。
結論から書いて、短くする
面接カードは面接当日、場合によっては開始5分前に読まれます。長く書き込むほど、伝えたいことが埋もれる。しかも、みっちり書かれたカードは面接官が質問しづらく、結果として自分がアピールする機会を減らします。
聞かれていることに結論から答えて、理由を後ろに置く。日常の言葉で書く。カードは面接の補足資料であって、カード自体が作品ではありません。
余白があるなら、あえて説明しきらない一文を置いておく手もあります。「理想とする職員像があります」とだけ書けば、それが何かを聞かれます。聞いてほしいことを聞かれない不安は、こうして減らせます。
その志望先でしかできないことを書く
省庁のように担当領域がはっきりしている組織ならともかく、県庁や市役所では次の2つに答えられないと、志望動機が成立しません。
- なぜ他の自治体ではなく、ここなのか。出身地でない場合はとくに問われます
- なぜ県庁なのか、市町村なのか。広域行政と基礎自治体のどちらをやりたいのか
答えるには、その自治体が力を入れている分野を具体的に知る必要があります。調べ方は決まっています。「自治体名 政策評価」または「自治体名 施策評価」で検索すると、公式サイトの情報公開ページが出ます。
そこに書かれている政策や施策が、その役所がいま予算と人を割いている領域です。
その中から関心を持てる分野を選び、やりたいとできるの両方を示す。片方だけだと、熱意しかない話になります。
特別区の早期SPI枠は、第2次試験がプレゼンテーションシートの作成です。春試験とは提出物の性質が違うので、どちらの枠で受けるかを決めてから準備してください。併願はできません。
自己分析は着地点から逆算する
自己分析を「自分を深く掘る作業」だと考えると、終わりがなくなります。面接で必要なのは、志望先の仕事に接続する形になっているかどうかです。
整理すべきことは3つに絞れます。
- 何ができるか。強みと、それを裏づける具体的な経験
- 何に力を入れてきたか。そしてそれを、この仕事のどこで使えるか
- 行政を通じて何を変えたいか。ここが民間の志望動機と分かれる場所です
3つ目を飛ばすと、「なぜ公務員なのか」に答えられません。逆にここが具体的であれば、多少ぎこちなくても話は通ります。
さらに言うと、3つ目は「なぜ公務員なのか」より一段細かく、なぜこの組織なのかまで要ります。私は最終合格の前に、業務説明会や職場訪問で財務省の一般職、金融庁、経済産業局、特許庁の4か所を回りました。財務局を志望したのは、試験勉強で経済学と財政学をやって面白かったので、その知識を使って国に貢献したいと考えたからです。こういう形でひとつ具体的な接続があれば、面接官の側は確かめる質問を続けられます。
この質問は併願先でも同じ強さで来ます。私は特別区も受けて最終合格し、希望した区の面接で「なぜ区役所なのか」を聞かれました。そこは答えを持っていませんでした。特別区を受けた理由が専門択一の形式だったからで、区役所で働く理由ではなかったからです。結局その区は辞退しています。
試験を受ける理由と、その組織で働く理由は別物です。科目や配点で併願先を決めるのは準備としては正しいのですが、面接はそこを聞きません。併願先を増やすときは、1組織につき1行でいいので「なぜここか」を先に書けるか確かめておくほうがいい。書けない先は、受かったあとで止まります。
集団討論は進め方を知っているかで決まる
集団討論は、4人から8人程度でテーマについて話し合い、最後に意見を述べる形式です。代表者1人が発表する場合と、全員が1人ずつ述べる場合があります。
やることは毎回ほぼ同じ順序をたどります。
- テーマが示される
- 役割を決めるかどうかを相談する
- 前提を揃える。言葉の定義と、どこまでを議論の範囲にするか
- 原因を分析する
- 解決策を出す
- まとめて発表する
役割は司会、タイムキーパー、発表者、書記が典型です。全員が発表するなら発表者は不要ですし、書記は任意。ただし司会とタイムキーパーは置いたほうが無難で、置かないまま始めると時間切れで解決策まで届きません。
ひとつ、よくある勘違いがあります。司会をやると有利、という思い込みです。
司会は話の方向を決める重要な役ですが、うまく回らなければ減点の材料にもなります。それより、前提の共有が飛ばされたときに戻す発言や、時間配分を気にする発言のほうが貢献として見えやすい。役職ではなく、議論を前に進めたかどうかが見られています。
テーマは行政課題から出ます。「若者の投票率が低いなかで、市としてどんな取り組みが考えられるか」といった形です。論文の頻出テーマ対策とそのまま重なるので、別々に準備する必要はありません。
プレゼンテーション型で問われるもの
プレゼンテーション型は、与えられた課題に対して自分で資料を作り、説明します。総合職教養区分の企画提案試験は、第1部で1題を1時間30分で作成し、第2部で約30分のプレゼンテーションと質疑。配点は6/24で、この試験でいちばん重い種目のひとつです。
集団討論との違いは、他人の発言に頼れないことです。論点の設定から解決策まで、全部を自分で組み立てて時間内に収めます。
90分
第1部、資料作成の持ち時間
30分
第2部、プレゼンテーションと質疑
6/24
企画提案試験の配点。教養区分でいちばん重い種目のひとつ
練習するなら、行政課題を1つ選んで、現状と原因と打ち手を10分で話す。これを繰り返すのが近道です。
資料を作る時間が区切られている以上、凝った作り込みは不可能です。構成を先に決めて、そこに中身を流し込めるようにしておくほうが、当日は安定します。
服装とマナーに時間をかけない
服装は減点されない範囲に収めれば十分で、加点材料にはなりません。紺かチャコールグレーのスーツ、白いシャツ、清潔な靴。クールビズ指定があればそれに従います。
筆記試験と説明会は私服でも構いませんが、迷ったら周囲に合わせるほうが気が散りません。
対面の面接
- 紺かチャコールグレーのスーツ
- 白いシャツ、清潔な靴
- クールビズ指定があれば従う
何で差がつくか
オンラインの面接
- 服装より環境のほうが効く
- カメラの高さ、背景、音声、通信
- 事前に一度録画して自分で見ておく
いまはオンライン面接を挟む試験もあります。ここで効くのは服装より環境です。カメラの高さ、背景、音声、通信。崩れると中身が伝わりません。事前に一度、録画して自分で見ておくと分かります。
入退室の作法も同様です。型を覚えるのは30分で終わります。そこに何日もかけるより、面接カードの精度を上げるほうが点になります。
手をつける順番
プレゼンテーション型が含まれるかどうかで準備が変わります
自己分析より先でかまいません。書けないところが、そのまま調べるべきことです
「自治体名 政策評価」で出ます。ここで志望動機の具体性が決まります
志望動機、力を入れたこと、長所と短所、最後に一言。数は多くなくていい
相手がいなくても、録音して聞き返すだけで直す場所が見つかります
冒頭で書いたとおり、私は予備校の模擬面接を使わず、大学のキャリアセンターで練習しました。独学だから面接で不利になることはありません。
公務員向けの特別な講座でなくても、第三者に面接カードを読んでもらって質問を受ける。その形さえ作れれば足ります。
面接練習は、受けられるなら受けたほうがいい。ただ、予備校である必要はありません。
面接は運の要素が大きいと言われます。ただ、配点を見て形式を調べてカードを詰める部分は、運の外側にあります。先にそこを潰しておくと、残りの運の幅が小さくなります。
制度全体の形は 公務員試験の全体像 2024年改正後の現在地、適性検査型の枠については 公務員試験のSPI・適性検査 政令指定都市20市を数えた、枠ごとの併願の制約は 公務員試験の併願 申し込んだ時点で消える選択肢 にまとめています。
配点と日程は2026年度(令和8年度)実施分です。2027年度は改めて公表されます。出願前には必ず各実施機関の受験案内で確認してください。
掲載内容は人事院および各人事委員会の公表資料に基づきます。学習方法については個人の受験経験に基づくもので、合格を保証するものではありません。
