公務員試験の併願は、日程より先に申込の時点で閉じます。東京都Ⅰ類Bの一般方式と新方式、特別区の春試験と早期SPI枠は、同じ年度に両方へ申し込めません。
私が受けたころ、併願は「日程が合えば出す」で済んでいました。選ぶ基準もはっきりしていて、専門択一で点を稼げる試験を優先しています。教養は当日の出題でぶれますが、専門は仕上げた分がそのまま出る。だから併願先が増えても計算が狂いません(専門択一6割で最終合格点に届くかの計算)。
いまはその手前に、もっと動かしにくい制約が増えました。同じ団体の中に早期枠や先行枠ができた結果、申し込みの時点でもう一方を受けられなくなる組み合わせがあります。
日程表を作る前に、まずここを見てください。財務専門官・特別区・国家一般職を併願して受かった元公務員として書いています。
この記事でわかること
- 同じ年度に併願できない組み合わせ(東京都の一般方式と新方式、特別区の春試験と早期SPI枠)
- 2026年度の主要な試験の申込・第1次・最終合格の日程
- 第1次より第2次のほうが衝突しやすいという構造
- 2026年度に実際に重なっていた日付(4月19日、6月下旬から7月上旬)
- 科目の重なりで併願先を選ぶと、1件増やすコストが下がること
併願できない組み合わせ
東京都Ⅰ類Bの一般方式と新方式、特別区の春試験と早期SPI枠。この2組は同じ年度に併願できません。
まず、日程以前に閉じてしまう経路があります。2026年度の受験案内で明記されているものを挙げます。
| 団体 | 組み合わせ | 制約 |
|---|---|---|
| 東京都Ⅰ類B | 一般方式 と 新方式 | 一般方式に申し込んだ人は、同年度の新方式に申し込めない |
| 特別区Ⅰ類 | 春試験 と 早期SPI枠 | 早期SPI枠に申し込んだ人は、同年度の春試験に申し込めない |
どちらも、教養と専門を課す従来型と、適性検査で入る枠が対になっています。その団体を第一志望にしている人ほど影響が大きい組み方です。第一志望の受験機会が、年2回から1回に減ります。
判断の材料は2つです。1つは採用予定数。特別区の早期SPI枠は事務で191名程度あり、規模としては小さくありません。
もう1つは、自分がすでに教養と専門にどれだけ時間を入れているか。一から積むなら適性検査型、すでに専門まで仕上がっているなら従来型のほうが、同じ努力に対する見返りが大きくなります。
併願は多いほどいい、という言い方があります。ただ、科目が重ならない併願は1件増やすたびに勉強する科目が増えます。数ではなく重なりで数えてください。
政令指定都市にも同じ構造の枠があります。従来型と適性検査型を併設している市では、申込時にどちらかを選ぶことになります。市ごとに扱いが違うので、志望先の受験案内で「同一年度に複数の試験区分に申し込めない」旨の記載を探してください。
2026年度の日程
申込は2月に集中し、第1次試験は3月から5月にかけて分散します。締切がいちばん早いのは特別区の早期SPI枠で2月18日です。
併願できる範囲が決まったら、次は日程です。2026年度の実績を並べます。次に受ける人の対象は2027年度なので、この表はあくまで時期の相場をつかむためのものとして見てください。
| 試験 | 申込 | 第1次 | 最終合格 |
|---|---|---|---|
| 特別区Ⅰ類 早期SPI枠 | 2/5 – 2/18 | 3/4 – 3/17 | 5/29 |
| 国家総合職(春) | 2/2 – 2/24 | 3/15 | 5/29 |
| 東京都Ⅰ類B 一般方式 | 2/16 – 3/10 | 4/19 | 7/10 |
| 国税専門官・財務専門官 | 2/19 – 3/23 | 5/24 | 8/12 |
| 国家一般職(大卒程度) | 2/19 – 3/23 | 5/31 | 8/12 |
| 特別区Ⅰ類 春試験 | 受験案内で確認 | 受験案内で確認 | 7/24 |
国税専門官と財務専門官は第1次試験が同じ5月24日です。どちらか一方しか受けられません。私は財務専門官のほうを選びました。専門の必須が憲法・行政法と経済で、他の併願先のために用意した科目がそのまま乗るからです(国税は会計学が必須問題に入ります)。
申込期間が2月に集中しているのも分かります。併願先を決めるのは2月ではなく、その前です。年明けに慌てて決めると、申込期間が終わっている枠が出ます。特別区の早期SPI枠は2月18日で締め切られ、国家総合職の春も2月24日までです。
人事院 報道発表「2026年の国家公務員採用総合職試験(春)等の日程について」、各受験案内。東京都人事委員会「令和8年度 Ⅰ類B採用試験案内(一般方式)」、特別区人事委員会「令和8年度 Ⅰ類採用試験案内【春試験】【早期SPI枠】」。
日程が重なる箇所
日程表を並べると、第1次試験どうしはうまくずれています。3月15日の国家総合職、4月19日の東京都、5月24日の国税または財務、5月31日の国家一般職。ここまでは素直に併願できます。
重なるのは第2次以降です。2026年度で目についたものを2つ挙げます。
4月19日
東京都Ⅰ類B一般方式の第1次試験と、特別区Ⅰ類早期SPI枠の第2次試験(プレゼンテーションシート作成)が同じ4月19日でした。
早期SPI枠は特別区の春試験と併願できないので、この2つを組み合わせようとする人は出てきます。そこで当たります。
6月下旬から7月上旬
国税専門官の第2次(6月22日から7月9日)、東京都の第2次(6月17日から6月29日)、特別区春試験の第2次(6月29日から7月10日)が重なります。
いずれも期間の中で日が指定される形なので、必ず衝突するとはかぎりません。ただし面接の日程調整が効かない団体もあるので、複数を残すなら早めに確認してください。
ここに挙げたのは2026年度の日付です。2027年度は改めて公表されるので、同じ場所が重なるとはかぎりません。重要なのは、第1次より第2次のほうが衝突しやすいという構造のほうです。第1次で複数受かったあとに日程が組めなくなるのが、いちばんもったいない失い方です。
科目の重なりで数える
併願数を増やすかどうかは、日程だけでなく科目の重なりで決まります。
追加の勉強がほぼ要らない併願と、そこだけのために1科目増える併願は、同じ1件でも重さが違います。
- 国家一般職と国税専門官。基礎能力試験の構成が同じで、専門も憲法・行政法・民法・経済学が重なります。国税は必須問題に会計学(簿記を含む)2題が入るので、そのぶんだけ追加になります
- 特別区春試験と東京都一般方式。教養の知能分野は重なりますが、専門の形式が違います。特別区は択一(55題中40題選択)、東京都は記述式(10題中3題選択)。同じ科目でも、書けるところまで仕上げる必要があるかどうかが変わります
- 適性検査型の枠を複数。テストセンター方式であれば受験日を選べるので、日程の衝突は起きにくい。ただし団体ごとに第2次の形式が違うので、面接とプレゼンの準備は別々に要ります
国家一般職の専門試験は16科目から8科目を選ぶ形で、ここは改正後も変わっていません。併願を組むときにいちばん効くのは、この選択科目を志望先の重なりに合わせて決めることです。
科目を先に決めてから併願先を探すと、たいてい合いません。
科目の重なりだけで決めた併願先は、受かったあとで止まる
私はこの数え方で特別区を併願に入れました。都庁の一般方式は専門が記述式で専門択一が無く、特別区は択一で出題分野が多い。国家一般職と財務専門官のために積んだ択一がそのまま使えるので、追加の負担がほぼありませんでした。
特別区の第2次試験の個別面接で、なぜ区役所なのかを聞かれました。答えを持っていませんでした。特別区を選んだ理由は専門択一があることで、区で働きたい理由ではなかったからです。最終合格のあとに希望した区が提示されましたが、区面接は受けずに辞退しています。
科目の重なりで測れるもの
- 追加で必要になる勉強の量
- 仕上げた専門択一がそのまま使えるかどうか
最終合格のあとに問われるもの
科目の重なりで測れないもの
- なぜこの組織で働きたいか
- 区面接や官庁訪問で、その先に聞かれること
併願の数え方そのものは間違っていません。ただ、科目の重なりで測れるのは準備の量だけで、受かったあとに要るものは測れません。最終合格は終わりではなく、国家系なら官庁訪問、特別区なら区面接が後ろにあります。
そこまで含めて併願先を決めるなら、1件追加するたびに「ここで働く理由を1行で書けるか」を確かめる。書けない先は、受験料と日程を使って最終合格まで行ったうえで、自分で降りることになります。都庁と特別区の違いのうち、採用の決まり方は特にここに効きます。
組み立てる順番
併願できない組み合わせがある団体なら、どの枠で受けるかまで決める
重なりが小さい試験は、1件増やすコストが跳ね上がります
2月に集中していて、早期枠はさらに前です
第1次より重なりやすく、日程変更が効かない場合があります
志望先の重なりから逆算すると、勉強する科目数が減ります
当時と違うのは、申し込みの時点で分岐が閉じることです。決める時期そのものが前倒しになりました。ここだけは、勉強を始める前に片付けておく価値があります。
いま同じ条件で受けるなら、私は併願数を減らすと思います。
制度全体の形は 公務員試験の全体像|2024年改正後の現在地、適性検査型の枠については 公務員試験のSPI・適性検査|政令指定都市20市を数えた にまとめています。
日程はすべて2026年度(令和8年度)の実績です。2027年度(令和9年度)の日程と制度は改めて公表されます。出願前には必ず各実施機関の受験案内で確認してください。
