公認会計士試験を働きながら受けていたのは、短答式までです。論文式は会社を辞めて専念しました。
辞めたときの退職金は5万円程度で、そのあとは親の支援で食べています。きれいな話ではありません。
そのうえで、金融庁の合格者調を数え直すと、この形がむしろ多数派だと分かります。合格者の約8割が学生か無職でした。
この記事でわかること
- 令和7年の合格者1,636人の職業内訳。会社員は89人で5.4%しかいないこと
- 働きながらの合格者を全部足しても11.2%で、学生と無職が79.5%を占めること
- 働きながら短答式を一発で抜けたときに、何を捨てたか
- 論文式で辞める判断をした理由と、辞めたあとに起きたこと
- 働きながら続けるなら、職場の何が効くか
公認会計士試験に働きながら合格する人は、どれくらいいるのか
令和7年の合格者1,636人のうち、会社員は89人で5.4%です。働きながらの人を全部足しても11.2%にしかなりません。
公認会計士・監査審査会が公表している「合格者調」に、出願時に申告された職業の内訳が載っています。二次情報では「社会人合格者は約13%」と書かれることが多いのですが、原本の表を自分で数えると数字が違います。どこまでを社会人に含めるかで変わるので、内訳のまま出します。 年齢別の統計は公認会計士の合格者の年齢に書きました。
| 区分 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 学生 | 905人 | 55.3% |
| 無職 | 395人 | 24.1% |
| 専修学校・各種学校受講生 | 94人 | 5.7% |
| 会社員 | 89人 | 5.4% |
| 会計事務所員 | 67人 | 4.1% |
| 公務員 | 23人 | 1.4% |
| 教員・教育学習支援者 | 4人 | 0.2% |
| その他・会計士補・税理士 | 59人 | 3.6% |
横にスクロールできます
働いている人をどう数えるかで印象が変わります。会社員・会計事務所員・公務員・教員を足すと183人で11.2%。対して学生と無職を足すと1,300人、79.5%です。
79.5%
学生と無職の合計
24.1%
無職。4人に1人
5.4%
会社員
ここで見てほしいのは会社員の少なさより、無職が24.1%もいることのほうです。395人が、出願の時点で職に就いていません。学生が多い試験だと言われますが、それと同じくらい「辞めて専念した人」が合格者を構成しています。私もこの395人の側に入りました。
公認会計士試験を働きながら受けて、短答式はどこまで行けたか
短答式は働きながら一発で通りました。上位25位、受験者約10,000人の中での順位です。短答式は年2回あるので、どちらの回で受けるかから設計できます(令和9年の日程)。 当日の会場や持ち物、待ち時間は公認会計士試験の当日に書きました。
当時は税理士法人に勤めていました。財務局を1年3か月で辞めたあと、税理士法人に入り、そこで働きながら短答式の合格直前まで受験していたという順番です。公務員のまま受けていたわけではありません。
働きながらで短答式が抜けたのは、能力ではなく配点の構造によります。短答式は500点中320点、64%が理論です。計算は180点しかない。計算の演習量は時間に比例しますが、理論は通勤や休憩時間でも進みます。細切れの時間での理論の回し方は、NotebookLMを使った方法としてNotebookLMで公認会計士試験を攻略(note・¥599)にまとめています。
短答式500点の内訳
時間が取れない側にとって、6割が理論というのは有利に働く。計算から入ると逆になる。
だから「財務会計論の計算を回す」という定石を、働きながらの人がそのままやるのは不利です。私は管理会計論の計算を3問から5問に絞り、監査論は頻出論点だけにしました。
公認会計士の論文式は、働きながらでは続かなかった
論文式で会社を辞めました。続けられなかったからです。
論文式は偏差値で判定される相対評価で、しかも模範解答が公表されません。自分の答案がどの位置にあるかを自分で測れない試験です。答案を書いて他人に採点してもらう工程が本体で、その時間は細切れでは作れません。
辞めたあとの話も書いておきます。退職金は5万円程度でした。そのあとは親の支援で生活しています。専念すれば受かるという話ではなく、専念できる条件があるかどうかの話です。
そして専念してからも、まっすぐ受かってはいません。論文式は3回受けています。1年目と2年目はほとんど勉強していません。模試すら受けませんでした。原因はコロナで予備校が閉鎖になったことです。予備校が担っていたのは答練だけでなく、行く場所があることでもありました。三振リーチまで行って、3年目に租税法と経営学へ寄せて上位10%で合格しています。
3年目に寄せたのは租税法と経営学です。逆に言えば、管理会計論と監査論は論文式では取りにいっていません。どの科目を捨てて何に寄せたかは管理会計と監査論は勉強するな(note・無料)に書きました。論文式の科目配分の話です。
この2年があるので、「辞めれば受かる」とは書けません。辞めたことで時間は増えましたが、通う枠組みが無くなった瞬間に止まりました。働きながらのほうが、むしろ生活のリズムは壊れにくい。独学と予備校の線引きは公認会計士試験は独学で受かるかに分けて書きました。
公認会計士試験を働きながら続けるなら、職場の何が効くか
勉強時間の長さより、仕事の内容が試験科目と重なるかどうかが効きます。
合格者調の数字がそれを示しています。会社員89人に対して、会計事務所員が67人。母数を考えると会計事務所員の密度は明らかに高い。日中にやっていることが、そのまま簿記と税務の演習になるからだと思います。
効く職場
会計事務所・税理士法人・経理。仕訳と決算書に毎日触れるので、財務会計論の計算が仕事の副産物になります
分かれ目は、仕事が演習になるかどうか
効きにくい職場
試験科目と無関係な業務。勉強時間を純粋に奪うだけになるので、短答式までで一度区切る前提が要ります
私は税理士法人に勤めていたので、前者でした。財務局にいたときも、各金融機関の財務諸表を集計してリスクを分析する仕事があったので、まったく無関係ではありません(財務専門官の仕事内容)。
そのうえで、よく見る助言を1つ否定しておきます。「スキマ時間を活用する」は、短答式までは本当で、論文式では効きません。論文式で要るのは2時間続けて答案を書く時間と、それを見てもらう相手です。通勤の20分をいくら積んでも、この2つは作れません。
手をつける順番
500点中320点が理論です。細切れの時間で進む部分が6割あるので、ここは働きながらでも届きます
管理会計論の計算は全問を追いません。時間が無い側が計算から入ると、いちばん伸びない場所に時間を使うことになります
合格者の24.1%が無職です。退職金・貯金・支援のどれがあるかを、先に数字で出しておきます
時間が増えても、行く場所が無いと止まります。私はそこで2年を落としました
論文式には科目合格の制度があります。1年で全科目を取る前提を外すと、働きながらでも設計できます
働きながら受かるかという問いへの私の答えは、短答式までは働きながら、論文式は条件次第です。条件というのは能力ではなく、辞められるかと、辞めたあとに通う場所があるかの2つでした。
関連記事は 公認会計士試験は独学で受かるか 論文式で崩れる理由、公認会計士試験の合格基準 令和9年から論文が54%へ、公認会計士試験に合格した後 修了考査と登録の3条件 にまとめています。論文式で租税法と経営学に寄せた全体戦略は 論文式試験は租税・経営で勝つ時代(note・¥850) に書きました。
合格者の属性は令和7年公認会計士試験の合格者調に基づきます。年度ごとに変わるため、受験する年の公表値で確認してください。
学習方法は個人の受験経験に基づくもので、合格を保証するものではありません。
