論文式を3回受けて合格した、その最後の年。企業法の論文式で、第二問を偏差値42まで落とした。足切りの基準は科目ごとの得点比率40%なので、2ポイント差で切られてもおかしくなかったことになる。
この年は租税法と経営学に勉強時間を寄せていて、企業法は伸ばす科目には数えていなかった。一番警戒していたはずの科目で、それでもここまで際どいところまで落ちた。この記事では論文式の企業法をどう位置づけ、何を削って何を削らなかったかを書く。
この記事でわかること
- 公認会計士試験の企業法、なぜ短答と論文で勉強法を変えたか(語句暗記 対 構成暗記)
- 論文式企業法、第一問と第二問でどんな差がついたか(得点率31・偏差値62 対 得点率21・偏差値42)とその理由
- 論文式でなぜ構成の暗記に全振りしたか、その判断軸
- 論文の科目配分を租税・経営に寄せた年でも、企業法だけ外さなかった理由
公認会計士 企業法、短答と論文で勉強法を変えた理由
同じ企業法でも、短答式と論文式は最初から別物として攻略していた。覚える中身そのものを変えている。
短答式
語句の暗記と何となくの暗記が中心。深く理解できていなくても、解ければそれでいいという扱いだった。マークシートの選択肢から拾えれば点になる
同じ科目でも出題形式が違う
論文式
頻出論点の構成を丸暗記し、主要な条文も大体覚えるところまでやった。白紙から答案を組み立てる必要がある
短答式は4科目まとめて1日で受けるマークシート式で、企業法は一番早い9時30分から50分間、100点の理論科目として行われる。対して論文式は記述式で、企業法は第1問50点・第2問50点の2問構成になっていて、採点は素点をそのまま並べるのではなく偏差値に変換してから合否を判定する。短答式の企業法で何点取ってどう時間を配分したかは、別に書いたnoteのほうに譲る。
【公認会計士試験】企業法で80点取る勉強法|それ以上を取りに行かなかった理由(note・無料)
短答式4科目の合格基準は総点数の70%前後が目安で、実際のボーダーは年によって69%から78%まで動く。企業法だけを見て70点取れば受かるという単純な話ではなく、財務会計論・管理会計論・監査論との合計で基準を超える必要がある。4科目のうち財務会計論だけが200点で、ほかの3科目は100点ずつという配点の違いもある。
令和9年の短答式からは英語の出題が始まるが、対象は財務会計論・管理会計論・監査論の3科目で、企業法は入らない。短答式の英語出題の配点や日程は公認会計士試験の日程 令和9年は英語出題が始まるに書いた。
公認会計士 企業法の論文式は、構成の暗記に全振りした
論文式の企業法は頻出論点の構成を丸暗記し、主要な条文も大体覚えるという一点に勉強を絞った。
理由は単純で、構成がしっかりしていて指摘する条文さえ合っていれば、あとは多少自分の言葉で書いても点が来るという判断があったからだ。
- 頻出論点の構成を丸暗記する。どの順番で何を書くかという答案の骨組みを、本番前に先に固定しておく
- 主要な条文も大体覚える。条文番号や文言がずれていると、構成そのものが合っていても点が伸びない
- CPAの問題集をメルカリで購入して使う。短答式は大原の教材だけで通していたので、論文式の企業法だけ教材が違う形になった
- 答練と肢別を定期的に回して忘れないようにする。一度覚えて終わりにせず、間を置いて再現できるかを確認する
論文式は素点ではなく偏差値換算で合否が決まる。各受験者の答案は、採点した試験委員の平均点からどれだけ離れているかという数値に変換され、試験委員ごと・科目ごとの採点格差を調整したうえで比較される。答案そのものの出来を直接測っているわけではない。型さえ合っていれば加点されやすいと考えていたのは、この仕組みがあるからだ。
一度仕上げた構成でも、間を置くと条文の順番や言い回しが抜けていく。書いて再現できるかどうかを都度確認する必要があった。
論文式の公認会計士 企業法で、第一問と第二問の明暗が分かれた
論文式の企業法は第一問が得点率31・偏差値62くらい、第二問が得点率21・偏差値42くらいで、同じ科目の中で明暗がはっきり分かれた。
31%
第一問の得点率。偏差値換算で62くらい
20
第一問と第二問、偏差値の差
21%
第二問の得点率。偏差値換算で42くらい
第二問が落ちた理由ははっきりしている。CPAの論文模試でそのまま出題されていたのに、復習していなかった。周りの受験生はできていたらしく、そこだけ差がついた。構成を丸暗記するという勉強法自体は科目の中で統一していたのに、模試で一度見た論点を潰し切れていなかった、その詰めの甘さがそのまま結果に出た形になる。 過去問の入手先と、短答・論文での回し方は公認会計士の過去問にまとめた。
第1問と第2問は配点が同じ50点ずつで、問題の難易度にあらかじめ差がついているわけではない。それでも準備の仕方次第で、偏差値にして20の差がついた。同じ科目、同じ勉強法のつもりでも、模試をどこまで復習したかという一点で結果が分かれた。
企業法は論文式700点のうち100点分を占める科目で、会計学の300点ほど比重は大きくない。それでも第2問だけで得点率21%というのは、50点満点のその問題で79%を失点したという意味になる。比重が小さい科目だからといって、取りこぼしの影響が小さいわけではなかった。
構成を覚えるという勉強法そのものは第1問・第2問で変えていない。差がついたのは、模試で出た論点をどこまで復習したかという一点だけだった。
公認会計士 企業法、足切りが一番怖い科目という位置づけ
論文3回目、租税法と経営学に戦略を寄せた年でも、企業法だけは頻出論点の構成を丸暗記レベルで確保した。
この年は科目ごとの優先順位をはっきりつけていた。租税法と経営学に時間を厚く割り、ほかの科目は最低限で抑える方針だった。その中で企業法は、自分の中で足切りリスクが一番高い科目という認識があって、丸暗記レベルでいいから構成だけは落とさないようにしていた。
論文式の合格基準は総点数の得点比率52%前後を目安にしていて、これも年によって動く。ただしこの目安とは別に、どの科目でも得点比率が40%未満になると、総合点がどれだけ良くても不合格になるという足切りのルールがある。租税法と経営学に時間を使う分だけ、企業法に残せる時間は削られていた。構成を丸暗記レベルで固定していたのは、この足切りに引っかからない最低限を確保するための線引きだった。
足切りが一番怖いというのはあくまで自分の評価であって、制度上そう決まっているわけではない。論文式の足切りは、どの科目でも得点比率が40%未満になれば不合格になるという共通のルールで、企業法だけが特別扱いされているわけではない。それでも自分がこの科目を一番警戒していたのは事実として書いておく。
現に、この年の企業法は第二問が偏差値42まで落ちている。足切りの基準40%まで2ポイントしか余裕が無かった計算だ。構成を丸暗記レベルで固定していなければ、ここで切られていてもおかしくなかった。
配点が小さい科目は後回しでいい、という考え方は企業法には当てはまらない。足切りは総合点ではなく科目ごとの得点比率で判定される。配点が小さい科目でも、そこで40%を割ればほかの科目がどれだけ良くても不合格になる。配点の小ささは、手を抜いていい理由にはならない。
公認会計士試験の制度そのものについては 公認会計士試験 カテゴリーで扱っています。
この記事の得点・配点は本人の受験経験と、公認会計士・監査審査会の公表資料に基づきます。制度の詳細は年度によって変わることがあるため、受験前には必ず最新の受験案内を確認してください。
