会計専門職大学院の入試には、筆記試験を課さない方式が5校すべてにあります。出願の条件は学校ごとに違い、学士だけで出願できる方式から、短答式合格などの資格を条件にする方式までが並んでいます。
私は大学院を使わずに公認会計士試験を受けたので、体験談は書けません。関西学院大学、明治大学、青山学院大学、千葉商科大学、関西大学の入学試験要項を読み、入試方式、学費、給付奨学金、税理士試験の免除の4点を並べました。入試の情報は2027年度の要項です(青山学院大学のみ2026年度版、関西学院大学の学費のみ2026年度入学生の数字)。
この記事でわかること
- 5校の筆記を課さない方式と、その出願の条件
- 2年間の学費の目安
- 給付奨学金の対象者の条件
- 税理士試験の免除に、要項で触れている大学院
会計専門職大学院の入試は、筆記なしの方式が全校にある
各校の入学試験要項(関西学院大学、明治大学、青山学院大学、千葉商科大学、関西大学)で、会計専門職大学院の筆記試験の免除を明記した学校は見つかりませんでした。代わりに、筆記を課さない方式が最初から用意されています。
| 大学院 | 筆記を課さない方式と、出願の条件 | 筆記を課す方式 |
|---|---|---|
| 関西学院大学 | A方式(書類審査・面接)。学士があれば出願できる。出願資格に資格の区分(E資格)もある | B方式(財務会計・管理会計、100分) |
| 明治大学 | A方式は短答式合格、日商簿記1級、全経簿記上級、税理士試験の簿記論か財務諸表論1科目以上、米国公認会計士のどれかが条件。C方式は資格のほか語学検定や職歴の証明書でも出願できる。ほかに学内選考入試と、2024年以降の短答式合格が条件の特別奨学生入試(いずれも書類審査・面接試問) | B方式(財務会計論・管理会計論、各60分) |
| 関西大学 | 資格取得者・社会人特別入試(書類選考・面接)。資格のほか、修士・専門職学位、2年以上の勤務と日商簿記2級でも出願できる。公募制推薦、学内進学、早期卒業者特別の各入試は、要項では資格などが出願の条件 | 一般入試(簿記・原価計算の筆記、または小論文と面接) |
| 千葉商科大学 | 社会人選抜(書類審査・面接)。実務経験3年以上が条件。資格は出願書類に任意で記入するだけ | AO入試(小論文60分と面接) |
| 青山学院大学 | 全区分が書類審査と口述試験。口述は日商簿記2級・3級の範囲。1年制は公認会計士、税理士、弁護士などの資格者、1年半制は実務経験3年以上が出願資格 | なし |
日程は学校ごとに期が分かれていて、出願の締切が近い回もあります。
会計専門職大学院を受けて合格した友人の話を、私がまとめたnoteがあります。志望理由書の組み立てと、面接で聞かれたことが中心で、前年度の受験の内容です。
【税理士試験科目免除】会計専門職大学院の選び方と受験対策を全部話す(note・¥799)
会計専門職大学院の学費は、4校で2年間に約293万円から317万円
各校の要項の数字を足すと、2年間の学費は関西学院大学が293万円、関西大学が296万円、青山学院大学が314万円、明治大学が317万円です。千葉商科大学は初年度の納入金しか要項に載っておらず、2年間の総額は出せません。
| 大学院 | 2年間の合計 | 計算の根拠 |
|---|---|---|
| 関西学院大学 | 2,930,000円 | 2026年度入学生。入学金+授業料と教育充実費の4学期ぶん。同窓会入会金などの諸費は含まない |
| 関西大学 | 2,960,000円 | 2027年度入学生。入学初学期+秋学期+2028年度の年額。校友会費を含む |
| 青山学院大学 | 3,140,000円 | 2年制。2025年度の参考額。後援会費などの諸会費を含む。2026年度は入学手続要項に記載 |
| 明治大学 | 3,166,000円 | 2027年4月入学。1年次1,683,000円+2年次1,483,000円。互助組合費を含む |
| 千葉商科大学 | 不明 | 初年度の納入金が1,542,080円(授業料は年額1,280,000円)。2年目以降の記載なし |
含まれる費目が学校ごとに違うので、数万円の差は費目の違いで生じることがあります。
会計専門職大学院の給付奨学金は、対象者の条件が学校ごとに違う
給付が資格や入試成績に連動するのは、関西学院大学、関西大学、明治大学の3校です。千葉商科大学と青山学院大学は、入試成績や資格に連動した給付が要項にありません。同じ資格でも、出願時に持っていることが条件の学校と、卒業見込みであることが条件の学校があります。
| 大学院 | 給付の内容 | 対象者の条件 | 採用枠 |
|---|---|---|---|
| 関西学院大学 | 短答式合格は授業料と教育充実費の3分の2、税理士試験の科目合格か日商簿記1級は3分の1を2年間。入試成績優秀者も3分の1 | 資格の区分は出願時に資格を持つ人。入試成績優秀者は資格が不要。企業・自治体の推薦入試で合格した人は対象外 | 13名程度(予定) |
| 関西大学 | 論文式1科目以上の合格は授業料の全額相当を2年間、短答式合格は全額相当を1年間、日商簿記1級は半額相当を1年間 | 学部卒業見込者・大学院修了見込者等で、出願時に資格を持つ人。2027年度は予定 | 枠の記載なし。資格と入試成績優秀者を合わせた2026年度の採用実績は10名 |
| 明治大学 | 特別奨学生入試の合格者に授業料の年額相当(120万円)。このほか、入学後の統一試験の成績上位者に授業料の2分の1 | 特別奨学生は2027年3月に大学を卒業見込み(飛び入学の枠もあり)で、2024年以降に短答式に合格した人 | 特別奨学生は約5名、統一試験は約10名 |
| 千葉商科大学 | 会計ファイナンス研究科向けの給付型は要項になし。給付は私費外国人留学生向けのみ | なし | なし |
| 青山学院大学 | 入試成績に基づく給付は要項になし。学内給付は入学後に募集 | 経済支援が必要な学生 | 若干名 |
採用枠も金額も「予定」とされている学校があります。資格があっても必ずもらえるものではなく、2年目の給付には1年目の成績の基準があります。
税理士試験の科目免除に触れている会計専門職大学院は、5校のうち2校
要項が税理士試験の科目免除に触れているのは、関西学院大学と青山学院大学です。ほかの3校は要項に免除の記載がありません。記載がないことは、免除ができないという意味ではありません。
| 大学院 | 要項の記載 |
|---|---|
| 関西学院大学 | 「租税法論文指導」の単位を修得し、論文審査に合格すると、税法科目の免除申請が可能。「財務会計論文指導」では会計科目の免除申請が可能。論文指導の履修には、10月募集の面接型の入試で学力考査を受ける |
| 青山学院大学 | 学位による税理士試験科目の免除を希望して論文を書く場合に、研究計画書を出す。免除される科目名・数の記載はなし |
| 明治大学 | 免除の記載なし。税務専修コースは研究計画書が必須 |
| 千葉商科大学 | 免除の記載なし。税務プロフェッションコースがあり、研究計画書は論文作成を希望する人のみ |
| 関西大学 | 免除の記載なし。税理士試験の合格者が出願要件に出てくるだけ |
国税庁の説明では、免除を受けるには、論文を書いて審査に合格し、税法科目のうち1科目で基準点を満たしたうえで、国税審議会の研究認定を受ける必要があります。関西学院大学の入試の流れ、研究計画書が要る条件、学費は税法免除の大学院 関西学院大学(関学)アカスクの入試と学費に書きました。免除をどこまで狙うかは、公認会計士試験か税理士試験かという選択とも絡みます。そこは公認会計士と税理士 どっちを選ぶかは時間の使い方で整理しています。
会計専門職大学院の比較から言えること
比べて私が言えるのは、給付奨学金の対象者の条件が学校ごとに違う、ということです。同じ短答式合格でも、出願時に持っていればよい学校と、卒業見込みであることも求める学校があります。
簿記1級、税理士試験の科目合格、短答式の合格のどれを持っているかで、選べる方式が変わります。 学生のうちに受けるかどうかは公認会計士は大学生のうちに受けるべきかに書きました。
出願時の資格に加えて、卒業見込みかどうかが条件になる学校があります。
狙うなら、論文指導の履修条件と研究計画書の要否を見ます。
公認会計士試験の側にも、会計専門職大学院の修了者向けの短答式の一部免除があります。合格基準の調整との関係は公認会計士試験の合格基準にあります。
この記事の数値は、5校の公式の入学試験要項に基づきます。青山学院大学は2027年度版に到達できず、2026年度の数字です。千葉商科大学の2年目以降の学費と、青山学院大学の免除される科目名は、要項から確認できませんでした。
入試の日程や学費、奨学金は年度ごとに変わります。出願前に各校の最新の要項を確認してください。掲載内容は合格や免除を保証するものではありません。
